景気ウォッチャー調査(東海地区:2015年8月) ~現状判断DIは2ヶ月ぶりに低下、7ヶ月ぶりの50割れ~

2015/09/08 塚田 裕昭
景気ウォッチャー調査(東海)

○9月8日に内閣府が公表した「景気ウォッチャー調査」によると、東海地区の8月の現状判断DI(3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断:各分野計)は前月差2.4ポイント低下の49.2と2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を7ヶ月ぶりに下回った。家計動向関連(小売、飲食、サービス、住宅関連)DIは、8月は前月差1.3ポイント低下の49.2と、2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った。企業動向関連と雇用関連からなるDIは、8月は前月差4.3ポイント低下の49.3と、3ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を9ヶ月ぶりに下回った(注1)。

○8月の先行き判断DIは、前月差4.0ポイント低下の47.1と3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を7ヶ月ぶりに下回った。また、家計動向関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは前月差4.7ポイント低下の45.8と、3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を5ヶ月ぶりに下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは前月差2.6ポイント低下の49.7と、2ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を16ヶ月ぶりに下回った。

○現在の景気の水準自体に対する判断DI(各分野計)は、8月は前月差1.4ポイント低下の49.2と、2ヶ月ぶりに低下し、中立を示す50を2ヶ月ぶりに下回った。家計動向関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは前月差0.1ポイント上昇の48.2と、2ヶ月連続で上昇、企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは前月差4.0ポイント低下の51.3と、2ヶ月ぶりに低下した。

○内閣府では、全国調査での景気ウォッチャーの見方として「景気は、中国経済に係る動向の影響等がみられるが、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、シルバーウィーク、プレミアム付商品券への期待等がみられる一方、中国経済の情勢や物価上昇への懸念等がみられる」とまとめ、4月の判断を基本的に維持している。
(7月のまとめ)「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、観光需要、プレミアム付商品券への期待等がみられる」

○東海経済については、「景気は、緩やかな回復基調が一服し、弱い動きがみられる。先行きについては、家計動向関連、企業動向・雇用関連ともに見方が一段と慎重になっている。プレミアム付商品券、インバウンド消費、伊勢志摩サミットへの期待が続いているが、中国経済の減速や株価下落への懸念が広がっている」とまとめられる。
(7月のまとめ)「景気は、緩やかな回復基調が一服している。先行きについては、家計動向関連、企業動向・雇用関連ともに見方が慎重になっている。伊勢志摩サミット、プレミアム付商品券への期待が続いているが、夏のボーナスへの期待は一巡した」

○景気の現状判断DI、家計動向関連、企業動向・雇用関連いずれも低下し、50を下回ってきた。特に企業動向・雇用関連のDIは大幅に低下している。東海経済は春までの持ち直し動きが一服している状況となっていたが、8月は中国経済の減速や世界的な株安がマイナス要因として加わって弱い動きがみられる。特に企業動向・雇用関連におけるマインドの悪化が顕著である。

○景気の先行きについては、中国経済の減速や世界的な株安という懸念材料が加わり、見方が一段と慎重になっている。大型連休となる秋のレジャー需要に対する期待に加えて、プレミアム付商品券、インバウンド消費、伊勢志摩サミットへの期待が続いているが、新たな懸念材料を払拭するには力不足のようだ。

(注1) 企業動向関連と雇用関連からなるDIは、内閣府HPに掲載されている地域別の各分野合計値から家計動向関連の値を除いた上で、「景気ウォッチャー調査」のDI算出方法に従って当社調査部にて試算した。

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