景気ウォッチャー調査(東海地区:2016年4月) ~ 現状判断DIは2ヶ月ぶりに低下、9ヶ月連続の50割れ ~

2016/05/12 塚田 裕昭
景気ウォッチャー調査(東海)

○5月12日に内閣府が公表した「景気ウォッチャー調査」によると、東海地区の4月の現状判断DI(3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断:各分野計)は、前月差2.4ポイント低下の44.7と2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を9ヶ月連続で下回った。家計動向関連(小売、飲食、サービス、住宅関連)DIは、同0.8ポイント低下の44.6と2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を9ヶ月連続で下回っている。企業動向関連と雇用関連からなるDIは、同5.5ポイント低下の44.8と2ヶ月ぶりに大幅に低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った(注1)。

4月の先行き判断DIは、前月差1.5ポイント低下の44.8と3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。また、家計動向関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同1.6ポイント低下の44.1と、3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同1.2ポイント低下の46.2と、2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。

現在の景気の水準自体に対する判断DI(各分野計)は、4月は前月差2.4ポイント低下の42.7と、2ヶ月ぶりに低下し、中立を示す50を9ヶ月連続で下回った。家計動向関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同0.8ポイント低下の41.7と、2ヶ月ぶりに低下し、中立を示す50を25ヶ月連続で下回っている。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同5.2ポイント低下の44.8と、3ヶ月連続で大幅に低下し、中立を示す50を6ヶ月ぶりに下回った。

○内閣府では、全国調査での景気ウォッチャーの見方として「景気は、消費動向等への懸念に加え、熊本地震によるマインド面の下押しもあり、引き続き弱さがみられる。先行きについては、観光需要や設備投資増加への期待等がある一方、熊本地震に伴う先行き懸念が多く表明されていることから、今後の動向が、企業、家計のマインド等に与える影響に留意する必要がある」とまとめ、前月の判断を基本的に維持している。
(3月のまとめ)「景気は、消費動向等への懸念により、このところ弱さがみられる。先行きについては、観光需要や公共事業前倒しへの期待等がある一方で、引き続き、先行き不安や金融資本市場の動向が企業、家計のマインド等に与える影響に留意する必要がある」

○東海経済については、「景気は、家計動向関連を中心に弱い動きが続いてきたが、4月の熊本地震の影響で企業動向・雇用関連でも悪化している。先行きについては、伊勢志摩サミットに対する期待が続いているが、円高、消費増税の有無などが不安材料となっている。熊本地震の影響については、その広がりが懸念される一方で、マイナスの影響は徐々に薄らいでいくとの期待も出ている」とまとめられる。
(3月のまとめ)「景気は、家計動向関連を中心に弱い動きが続いている。また、企業動向・雇用関連では持ち直しの動きが一服し、均してみると横ばいとなっている。先行きについては、伊勢志摩サミットに対する期待が続いているが、中国経済減速、円高、消費増税の有無などが不安材料となっている」

○景気の現状判断DIは2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を9ヶ月連続で下回った。家計動向関連の現状判断も2ヶ月ぶりに低下し、9ヶ月連続で横ばいを示す50を下回り、弱い動きが続いている。熊本地震の影響、消費増税を巡る不透明感等が不安材料となり、家計の節約志向が続いている。また、企業動向・雇用関連の現状判断は2ヶ月ぶりに大幅に低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った。熊本地震の影響で自動車生産が2月の工場爆発事故後に続いて一部停止となったことが、大幅な低下につながったと考えられる。

○景気の先行き判断DIは3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。家計動向関連の先行き判断も同様の動きとなっている。今月開催される伊勢志摩サミットに対する期待が続いているが、熊本地震の影響の広がり、消費増税を巡る不透明感、株安等が不安材料となり、家計消費の先行きの見方は厳しい。企業動向・雇用関連では2ヶ月ぶりにDIが低下し、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。円高、消費増税の有無に加え、大手自動車メーカーの燃費不正問題の影響が先行きの不安材料となっている。一方で、熊本地震の影響については復旧を見込むなど、景気の下げ止まりを期待する見方も出ている。

(注1)企業動向関連と雇用関連からなるDIは、内閣府HPに掲載されている地域別の各分野合計値から家計動向関連の値を除いた上で、「景気ウォッチャー調査」のDI算出方法に従って当社調査部にて試算した。

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