人事・退職給付一体サーベイ(シニア活用編)の実施と結果概要~定年延長導入・再雇用制度に関する企業の動向について~

2019/08/26 三城 圭太、水江 無逸
組織・人事戦略
独自調査

1.本レポートの趣旨
(1)はじめに
急速な高齢化を背景に、高年齢者が年金受給開始年齢まで働き続けられる環境を整備する目的で、2013年4月1日から改正「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下、高年齢者雇用安定法)が施行された。1定年を65歳未満に定めている事業主は、➀65歳までの定年年齢の引上げ、②希望者全員を対象とする65歳までの継続雇用制度の導入、③定年制の廃止のいずれかの措置 を講ずることが義務付けられた。
2013年の法改正から5年が経過し、新聞紙面では、定年年齢の引上げを実施した企業の記事が日増しに増えてきている。組織人事ビジネスユニットでは数多くの人事関連テーマのコンサルティングを実施しているなか、世の中の流れに即して、高年齢者の活性化に関するプロジェクトの比重が増加している。プロジェクトでは定年年齢引上げを前提に施策を検討するケースもあるが、「定年年齢を引上げるべきか否か」の意思決定の段階から企業・法人の相談に乗るケースも多い。定年年齢を引上げる場合、実施のタイミングや対象者に割り当てる業務内容、60歳到達後の人事制度の在り方など、実務的に検討すべき事項は多岐に渡る。一方で定年年齢を引上げない場合も、高年齢者活性化や労務コンプライアンスの観点から既存の再雇用制度の処遇を改善する例も多い。
経営として定年年齢の引上げや周辺施策を検討するにあたり、定年年齢を引き上げた企業や対応検討中の企業の先行事例が参考になると考えられるが、これまで具体的な情報・資料は限られていた。そこで、弊社では退職給付制度に関するコンサルティングを行う三菱UFJ信託銀行(以下、「MUTB」という)と協働で人事・退職給付一体サーベイを実施することとし、再雇用制度・定年年齢引上げに対する各企業の動向にスポットを当て情報を集積することとした。
今回のサーベイに関しては、退職給付制度のコンサルティングで培ったMUTBのノウハウと人事制度に関する弊社の知見を活かして50問の設問を設定した。以降、本レポートでは回答結果の概要についてレビューする。(本サーベイには再雇用時の報酬水準や退職給付制度に関する設問なども含まれているが、本稿では人事制度に関する調査結果の一部を報告するにとどめている。)・・・(続きは全文紹介をご覧ください。)


1 2004年の改正(2006年施行)において、定年を65歳未満に定めている事業主は、➀65歳までの定年年齢の引上げ、②65歳までの再雇用制度の導入、③定年制の廃止のいずれかの措置を講ずることが義務付けられていたが、2013年の改正によって、②の再雇用について労使協定で対象者を限定できる仕組みが廃止された。

執筆者

  • 三城 圭太

    コンサルティング事業本部

    組織人事ビジネスユニット HR第3部

    プリンシパル

    三城 圭太
  • 水江 無逸

    コンサルティング事業本部

    組織人事ビジネスユニット HR第1部

    シニアマネージャー

    水江 無逸
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