緊急事態宣言再発令への対応と心身の健康~【新型コロナ特別企画】全国1万人調査第2回「緊急事態宣言下における日本人の行動変容」~

2021/03/08 政策研究事業本部
1万人調査(第2回)

【概要】

Ⅰ.緊急事態宣言再発令への対応状況

  1. 方針・目標への対応(4P)
    • 「3密を避ける」ことが、はっきりとできていると思う人は32.4%と、前回調査(2020年5月)の39.2%から低下。20代で特に低下幅が大きい。
    • 「出社7割制限」目標に対応できているかについては、3割強が肯定的。前回の「人との接触8割減」に対する就労者の対応(6割弱)よりも低い割合である。
    • 「感染リスクが高まる5つの場面」のうち、多くの人が共通して直面すると考えられる「飲食を伴う懇親会」「大人数や長時間に及ぶ飲食」「マスク無しでの会話(家族以外)」を避けられているかについては、いずれも「そう思う・ややそう思う」が8割強。
    • 「目標や方針に沿った行動を取れないことがあると罪悪感を覚える」かについては、「そう思う・ややそう思う」が39.0%で、前回調査からわずかに上昇。「目標や方針に沿った行動を取らない人に対して腹立たしさを覚える」かについては、「そう思う・ややそう思う」合わせて54.3%で前回調査から6.7ポイント減少。
    • 「政府の目標や方針の意味が理解できないためどう行動してよいかわからない」については、「そう思う・ややそう思う」が36.1%であり、前回調査の18.1%から倍増。
  2. 消費行動(10P)
    • 生活必需品の買い物や飲食などの消費行動における自粛対応として、前回調査で設定した10項目に加えて「11.検査・予防接種のための医療機関の受診」を設定した。前回と同様の10項目については、全般に、前回よりも「利用を控える」割合が減少。中でも、最も「利用を控える」の割合が減少したのは、理・美容サービス。また、宿泊施設や娯楽施設は、減少したとはいえ、現在も、半数前後が「利用を控える」と回答している。
    • 「GoToトラベル」「GoToイート」について、事業停止に伴い予約を取り消した場合も含めて、利用申し込みベースでの利用率を把握している。全体で、「GoToトラベル」は14.9%、「GoToイート」は12.1%の利用率。両事業を利用しようとした人は、自粛意識が低い訳ではなく、マスク・消毒等の感染対策をしっかりすれば、外出や飲食をしても感染を防止できると考えて行動した人が多いとみられる。
    • 「(医療・生活必需品・運送等の)仕事で接触を避けられない人たちのリスク軽減につながる行動を心掛ける」という考え方に対しては、「そう思う・ややそう思う」との回答は依然高い割合であるものの、前回調査からは10ポイント以上低下しており、特に「そう思う」と回答する人の割合が大きく低下。
    • 「感染防止対策や方針に沿った行動ができない、行わない理由」は、「生活必需品や飲食物の買い物のための外出が必要」が最も多く4割強におよぶ。次いで、「長引いていることにより、緊張感が保てなくなった」、「仕事の関係で外出や人との接触が必要」「自分や家族の健康維持・ストレス解消のための外出が必要」が多い。20代では、「家にずっといるのが苦痛、なんとなく出たくなる」「人と直接会えないのが苦痛、会って話をしたい」との回答割合が他の世代よりも高い。「長引いていることにより、緊張感が保てなくなった」は40代が最も多い。
  3. 就労への影響・働き方における対応(16P)
    • 就労への影響をみると、転職した人も含めてコロナの影響で職を失った人は、就労者の3.5%。男女別にみると、男性で2.3%、女性で5.1%である。女性の就労へのコロナの影響は、男性の倍以上。
    • 今年度の年収見込みについて、年度の早い段階で行った前回調査では2割弱が「年収が減少」あるいは「見込みが立たない」としていたが、年度が終わろうとする今回調査ではこの割合が減少しており、「変化なし」の割合が増加。2020年5月の全国一斉の緊急事態宣言時の見込みよりは悪い状況に陥らずに済んだ人が多かった。
    • 働き方の変化をみると、昨年の緊急事態宣言後の変化として、「完全に、緊急事態宣言前の働き方に戻った」と「一部、緊急事態宣言間の働き方に戻った」が共に15.7%、「緊急事態宣言時の働き方を継続した」が16.6%、「そもそも、緊急事態宣言時に働き方が変わらなかった」が51.4%。
    • 今回の緊急事態宣言再発令時と、昨年の緊急事態宣言発令時の働き方の変化を比較すると、最も多い回答は、いずれも「これまでと同じ働き方である」であるが、今回は半数近くを占め、前回を大きく上回った。次に多い回答は、「働き方は変わっているがコロナ対応とは関係がない」であり、今回の調査では、前回を10ポイント上回っている。短時間や短日勤務、テレワークや時差出勤などの柔軟な働き方は、いずれも前回調査より減少している。また、自宅待機や休業の割合も減っている。
    • 変化した働き方により「できるようになったこと」は、「自分の時間の確保」「健康的な働き方」「家族との生活を重視した働き方」が上位。テレワーク利用者で特に回答割合が高い。「できなくなったこと」は、「同僚や部下とのコミュニケーション」「高い収入の確保」「生産性の高い働き方」「仕事上のネットワークを広げること」「後輩や部下の育成」などが上位。
  4. 行動変容のきっかけと情報の入手先(27P)
    • 人々が感染拡大防止のための行動を変化させるようになったきっかけをみると、最も多い回答は、「国内の感染が拡大した」からであり、次いで、「政府(国)が緊急事態宣言を出した」からが多くなっている。
    • 行動選択に際し、判断の参考としている情報の入手先を聞いたところ、「テレビ」「インターネットのニュ―スサイト」「新聞(オンラインを含む)」が、今回の調査でも前回調査同様上位に上がっている。ただし、いずれも前回調査より回答割合が低下している。また、「政府のサイト・SNS」「自治体のサイト・SNS」も、前回調査よりも回答割合が低下しており、「政府のサイト・SNS」は、低下幅が最も大きい。
  5. 政府・都道府県の対策への評価(30P)
    • 政府・都道府県の新型コロナ対策に対する評価を聞くと、政府については、肯定的な評価より否定的な評価の割合が高い。都道府県については、否定的な評価よりも肯定的な評価がわずかながら上回っている。

Ⅱ.心身の健康への影響

  1. 心理的ストレス(32P)
    • コロナ禍における心理的ストレスについて、前回調査と同様「K6」という尺度を用いて把握した。ストレスの強い「10点以上」の割合は、やや増加している。男女別にみると、今回も前回と同様、女性の方が男性よりもストレスを感じている人の割合が高い。ただし、前回からの変化でみると男性の方が、ストレスの高い層の割合が増加している。年代別にみると、若い層ほどストレスが高い。20代では、「漠然とした不安」や「自身の収入減少に関する不安」、「人間関係における不安」などが他の世代よりも高い。
  2. 生活習慣・体重(35P)
    • 新型コロナ感染拡大前と比較し、「体重」が増加した人は減少した人よりも多く、28.1%が「増加」と回答。就労者について働き方別にみると、「休業・待機」となった人で、増加したとの回答割合が最も高く、次いで「一部テレワーク」、「すべてテレワーク」の順。
    • ・睡眠時間や食事量等の生活の変化については、「睡眠時間」と「食事の量(間食を含む)」は、増加した人の方が減少した人よりも多い。一方、「外出頻度」「運動量」「人との会話」は、増加した人よりも減少した人の方が多い。
  3. 飲酒・喫煙(37P)
    • 飲酒と喫煙に対する新型コロナウイルスの影響についてみると、新型コロナウイルス感染拡大前と比べて、飲酒は減った人が増えた人よりも多く、喫煙はわずかながら増えた人が多い。
  4. 健康的な働き方(38P)
    • 食事量が増え、外出や運動の機会、人との会話が減り、体重は増加しても、睡眠時間が増え、飲酒が減っており、トータルとして、テレワークや時短等の柔軟な働き方の方が、従来の「柔軟でない」働き方のままでいるよりも「健康的な働き方」だと感じている人が多い。
  5. 新型コロナの相談・検査・療養等(38P)
    • 新型コロナウイルスに関して、相談、検査、陽性判定、入院・療養、濃厚接触者指定の「自身の経験」や「周囲で見聞きしたこと」があるかを聞いたところ、「自身の経験あり」は、5.5%である。家族・親族や職場の同僚や友人等のいずれであれ「周囲で見聞きした」との回答は、10.6%である。「いずれも該当しない」は83.8%となった。緊急事態宣言の対象区域別にみると、「いずれも該当しない」の回答割合の高さは、「その他地域」>「1月14日以降再発令7府県」>「神奈川・埼玉・千葉」>「東京」の順となっている。

さいごに(41P)

  • 感染の拡大状況の変化と共に、人々の意識も生活も変化していく。こうした変化を適切に捉えることが重要であろう。また人々が、「政府や自治体から期待される感染対策に応えることが、自身の生活や健康、将来設計を守ることにつながる」と感じられるような対策、情報を提供することが必要ではないか。

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