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2011.05.17  電力使用制限の法的根拠と罰則について

総合相談部

今夏の東京電力管内における電力の需給ギャップ対策として、節電が企業や一般家庭に求められています。このうち、契約電力が500KW以上の大口需要家には法律に基づく使用制限が設けられる予定との報道をよく見かけますが、この使用制限はそもそもどのような法律に基づくもので、違反した場合はどのような罰則が科せられるのかについて解説したいと思います。

1.法的根拠

電力の使用制限に関しては、「電気事業法」で以下のとおり規定されています。

(電気の使用制限等)
第二十七条 経済産業大臣は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて、一般電気事業者、特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者の供給する電気の使用を制限し、又は受電電力の容量の限度を定めて、一般電気事業者、特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者からの受電を制限することができる。

上記を受け、政令(「電気事業法施行令」)では以下のとおり規定されています。

(電気の使用制限等)
第二条  法第二十七条の規定により使用電力量の限度又は使用最大電力の限度を定めてする一般電気事業者、特定電気事業者又は特定規模電気事業者の供給する電気の使用の制限は、五百キロワット以上の受電電力の容量をもつて一般電気事業者、特定電気事業者又は特定規模電気事業者の供給する電気を使用する者について行うものでなければならない。
2  法第二十七条の規定により用途を定めてする一般電気事業者、特定電気事業者又は特定規模電気事業者の供給する電気の使用の制限は、装飾用、広告用その他これらに類する用途について行うものでなければならない。
3  法第二十七条の規定により使用を停止すべき日時を定めてする一般電気事業者、特定電気事業者又は特定規模電気事業者の供給する電気の使用の制限は、一週につき二日を限度として行うものでなければならない。
4  法第二十七条の規定により受電電力の容量の限度を定めてする一般電気事業者、特定電気事業者又は特定規模電気事業者からの受電の制限は、三千キロワット以上の受電電力の容量をもつて一般電気事業者、特定電気事業者又は特定規模電気事業者から電気の供給を受けようとする者について行うものでなければならない。

(1)制限される電気使用の形態

上記法令からわかるように、以下の4つの形態が法的には使用制限の対象となる。

  1. 使用電力量の限度又は使用最大電力の限度を定めて、電気使用者に行なうもの
    →500KW以上の電気供給契約を電気事業者との間で締結している者が対象。一般電気事業者は、一般(不特定多数)に電気を供給するもので、北海道電力から沖縄電力までの地域電力会社10社が該当する。経済産業大臣が使用電力量については地域、期間を指定して、使用最大電力については地域、期間に加え時間の範囲を指定して実施。
  2. 用途を定めて行なうもの
    →装飾用、広告用など、具体的には広告灯、電飾、ネオンサインに加え屋内外の照明を使用した各種広告や装飾について、経産大臣が地域、期間、時間の範囲を指定して実施。
  3. 使用を停止すべき日時を定めて行なうもの
    →1週間のうち2日を限度に経産大臣が地域、期間、日数、時間の範囲を指定して実施。 電気使用制限規則(省令)によれば、契約電力が50KW以上の者が対象。
  4. 受電電力の容量の限度を定めて行なうもの
    →3000KW以上の供給契約を有する超大口需要家が対象。経産大臣が地域、期間を指定して実施。

(2)使用状況の報告義務

上記1の場合は、制限の対象となった者は、電気の使用状況について経産大臣が指定する期日までに所定の様式で電気の使用状況について報告を要します。

2.違反した場合の罰則について

使用制限命令に使用制限の対象者が違反した場合の罰則について、電気事業法では、119条(7号)と121条(3号)で規定されています。

  1. 119条は行為者そのものを罰する規定で、使用制限に反する行為を行なった者(責任者=決定権限者である法人の代表者や工場長等)に百万円以下の罰金を課しています。
  2. 121条は法人の場合は当該法人、個人事業主の場合は当該個人事業主に課される罰金を定めた規定で、行為者に加え法人または個人事業主にも同額の罰金刑を課しています。

3.今回の震災で検討されている使用制限について

過去において、電気業法27条に基づいて実際に使用制限命令が出されたのは、第一次石油危機下の1974年に大口需要家向けに15%の使用制限(上記1、(1)1)が行なわれたケースとネオン公告等の用途規制(同2)が行なわれたケースのみと言われています。

今回の震災で政府が予定している使用制限命令は、これまでの経産省や政府発表によれば、上記1、(1)1のケースのうちの「東京及び東北電力のサービスエリア内において使用最大電力の限度を定めて、電気使用者に行なうもの」になると思われます。この場合、小口需要家や一般家庭への削減要請はあくまで要請であり、法的な義務は伴わないものとなります。

政府としては、具体的な内容を4月下旬にも明らかにしたかったようですが、東京電力の供給予想電力量が上振れしてきたことから、当初25%であった削減率を15%に圧縮し、7月から9月の午前9時〜午後8時にかけて使用制限を実施する検討を行なっているようです。
現在は、昨年の同期間比で使用電力契約に変動がある大口需要家について削減の基準となる最大使用電力値をどのように決定するか、削減を複数の企業等で共同で行なう場合の算定ルールをどうするかといった詰めの作業が経産省を中心に行なわれており、最終的な内容は今月下旬から来月始めに明らかにされるのではないかと思料されます。

ただし、浜岡原発の停止措置により、中部電力からの東京電力向け電力融通が行なわれなくなることに加え、定期点検による新たな原発の停止や一時停止中の原発の再稼動問題等不安定な要素も多く存在し、制限地域の拡大も含め、今後更なる使用制限の上積みが必要となるかも知れません。

(三菱UFJビジネススクエアSQUET 情報スクエア(BMCH20110516134922)より転載)

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