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2007.06.26 No43 「妻たちの海外駐在」について
昨今、海外進出の増加や海外事業の拡大の影響を受けて、海外駐在員は増加の一途をたどっており、中には毎年駐在員数が倍増の勢いを示している地域もあります。こうした中、海外勤務を単身赴任で過ごす駐在員も意外に多く、10 年以上も単身赴任している方も見受けられます。
単身赴任の背景としては、「既に何回か家族一緒に海外駐在してきたが、今回はちょうど子供の受験で……」といった例もよく聞きますが、今回は「初めての海外駐在」の際、妻として家族として同行すべきかどうか迷う場合について、考えてみます。
1.たかが海外駐在、されど海外駐在
「夫と離ればなれになりたくない」「家族は一緒に暮らすのが当然だ」「海外で暮らしてみたかった」といった妻たちであれば、先進国であれ、生活環境が厳しい開発途上国であれ、日本での生活とは異なる状況(時には苦難)を乗り越えて、夫や家族と、さらに他の駐在員同士と楽しい駐在生活を送ることができるでしょう。問題は、夫に促され、意を決して、同行した場合です。とくに前述の開発途上国への赴任の場合は、一般に治安が悪く不断に緊張状態を強いられます。食糧事情、衛生状態は日本とは比べようもなく、ちょっと油断すると下痢や発熱といった症状に見舞われます。通信事情が悪いこともあり、夫の出張の際にはついつい不安が募ります。このような駐在環境の中で頼りになるのが「家族の絆」「家族力」です。厳しい環境だからこそ、また日本から離れた駐在生活であるからこそ、夫と妻が、家族同士が、互いに支え合い励まし合うという「家族力」が生まれるのです。
2.功罪両面の駐在日本人社会
家族力で頑張っている駐在員にとって、功罪両面、あい半ばしがちなのが駐在日本人社会のようです。海外駐在では、会社の業務発展のために駐在する夫と同様、妻にも駐在日本人社会での役割、貢献が求められるケースが少なくありません。しかし、このような「貢献」が「干渉」にまで至ってしまうと問題が起こります。同一企業の現地法人駐在員でありながら、夫である社員の肩書きそのままに、現法社長「夫人」が部下の奥さんたちをあたかも自分の部下のように頭ごなしに叱ってみたり、やれ「パーティの食材の準備をしなさい」と命令を連発して部下の夫人をノイローゼに追い込んだりして、挙げ句は夫人連から反発され、現法駐在員全体の雰囲気が暗転してしまう話をよく聞きます。また他の日本企業の夫人連との軋轢が起こることも、決して例外的ではありません。お互い現地に赴任している駐在員仲間として、楽しく助け合って駐在生活が送れるように、日頃から駐在員自身はもちろん、ご夫人、家族についても行き過ぎた干渉のないように注意すべきでしょう。ここでは駐在員社会という「外」に向けての「家族力」を発揮すべきです。
3.単身赴任する社員の幸せは?
企業経営者の中には「我が社はこれまで全員単身赴任でした。家族帯同赴任の規程もありません」という方もいらっしゃいますが、社員にとって単身赴任と、家族一緒の赴任とどちらが幸せでしょうか?結婚して子供が生まれ、家族として暮らしていくわけですが、考えてみると、家族全員が一つ屋根の下に暮らす年月は意外と短く、一般には子供が大学で下宿したり、就職して転勤したりするまでの20 年前後ではないでしょうか? となると、冒頭の10 年以上も単身赴任している場合では、子供との生活は半減してしまうということになります。幼児期、小中学生、高校・大学と時期は異なるにしても、親として一緒に暮らした方が良い時期があるのは当然です。単身赴任が当然だとおっしゃる企業経営者の方には、この機会に是非「社員と家族の幸せ」について思いを巡らせていただきたいものです。