ホーム > 海外ホットライン > No47 「日本人のありがちな志向・思考と行動パターン」について
海外ホットライン
2008.01.29 No47 「日本人のありがちな志向・思考と行動パターン」について
1.学生への質問
数百人規模の日本の大学生に以下の質問をすると、どんな結果になるでしょうか?
(1)最高時速 :150km/h
(2)エンジン出力 :150 馬力
(3)車両重量 :1,500kg
実車を走らせてみたところ、どうしても最高時速が130km/h と、スペックの150km/h よりも20km/h 遅い結果となりました。現在のエンジンをチューンナップする余地もありません。さて、このような状況で、どうしたら最高時速をスペックどおりの150km/h にすることができるでしょうか?
対処策の選択肢は、以下
(1)エンジン出力を上げる(すなわちエンジンの大型化)か
(2)車両重量を軽減するか
の二つの選択肢のどちらか、ということにします。さて、みなさんの回答はいかがでしょうか?
結論から言うと、これまでの大学生の回答の大勢は「車両重量を軽減する」です。もちろん「エンジンチューンナップを続けて出力を上げる」と云った努力継続の回答もありますが、大勢は「軽くする」です。一般に、日本人には「軽薄短小」が思考回路に組み込まれているとか、やれ「縮み」志向1だ、などと論われますし、昨今のナノテク開発熱などもその現れかも知れません。ところで、米国人であれば、多分簡単な手段である大型エンジンを搭載する方の回答が大勢を占めるのではないか、と思いますが如何でしょうか。
2.日系企業の証言
米国に進出した自動車業界の日系現地法人責任者が言うには、金型の製作と自動車部品の生産のやり方が「米国流はまるで違う」そうです。「米国企業は超高価かつ精密な金型を製作して、これで数万個単位の部品を一気に作ってしまう。途中で金型が欠けてしまったために不良品となった部品はあっさりと捨ててしまう。ひるがえって、日系企業は補修してきた金型をさらに補修して使う。部品生産数も一回に数百個とかせいぜい数千個づつ作っており、大量生産という言葉とは程遠いのが実態」。
さらに、「米国製の自動車は品質が劣るというのが一般の印象だが、設計段階では日本製よりも格段に優れている点も多い。
問題は製造段階での品質が設計レベルを維持できないこと。日本車は設計で劣っていても製造段階で高いレベルで品質を保持できているから、完成車の品質は米国車と逆転する結果となっている。」とのこと。やはり製造業は日本のお家芸ということでしょうか。自動車業界をはじめとしたグローバルコンペティションはさらに激しさを増していることから、日本流のやり方も変わっているかもしれませんが、日系企業の証言から推測すると、「米国で設計開発して、日本企業で製造した自動車」がより高い競争力を持つことになるかも知れません。
3.意外とギャップがある「日本の常識、行動パターン」
アジア某国で訪問先を地図で確かめようとベテランの運転手に地図を見せたところ、彼は地図を読むことができないことが分かったことがあります。いつもスイスイと運転しているのに?と疑問に思ったわけですが、要は地図を読む(見る)教育を受けていないということです。日本や先進国では、文字も地図も小学校から教わるわけですから、「当然・・・」と思い込み勝ちですが、国毎に、相手毎に日本の常識は通用しない(かも)ということを、ちょっと頭の片隅に置いておきたいものです。
もう一例。これもアジア某国でイベントを開催した際に、集まった数千人規模の観客が先を争っていたことから、順番に「列」を作らせようとしたところ、却って大混乱になり、押し寄せる群衆が将棋倒しになってしまった、というケース。わが国であれば「順番に並んでください」と言われなくても“当然”静かに列を作っていますが、これがそのまま海外で通用することはありません。考えてみれば、何かを手に入れようとする時には、一歩でも前に出て手を伸ばす方が自然であり、「列」を作って静かに順番を待つことは、却って不自然(あるいは、相当高度なスキル)に見えるかも知れません。
目に見えない財テクや金融よりも、前掲のナノテク分野に代表される「軽薄短小」の工業製品の開発製造と、品質向上にのめり込むという物作りが大好きな性格。また、他人や他国の要求に対して何とか相手の事情を斟酌し「歩み寄ろう」として交渉に臨む行動パターン。欲望を抑制して、争うことなく静かに列を作って順番を待つ人々。これらの面から見ると、日本人の志向・思考、行動パターンは、海外の人たちからは、相当不思議に見られているかも知れません。この際、日本の常識、日本人としての常識をもう一度見直してみると、意外と海外ビジネスで意思の疎通がスムーズになるのではないでしょうか?(ところで、冒頭の学生の回答について、実は昨年は初めて「大きいエンジンに換える」が大勢を占めました。日本人の常識も変わりつつあるようです。)