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2009.10.10 No.52 中国での商標登録、大丈夫ですか?!
新聞等で、「知的財産権」や「日本を知的財産立国へ」と言うような言葉を良く見聞きしますが、その背景には、世界経済のグローバル化により日本がアジアや中国等の後発企業の追い上げを受け、競争が激しくなって来たことが挙げられます。日本としてもこれ迄創り上げて来た技術等を保護、活用することにより、このグローバル化した競争の中で生き抜いて行かなければならないとの認識の高まりがあるからと言えます。
皆様の中には「知的財産権」の問題は、多くの特許を持つ大企業や一部の特別な技術を有する企業の問題であり、特別な技術に基づく特許等を持たない自分の会社には関係が無いと思っていらっしゃる方がいるのではないでしょうか。しかし、本当にそうでしょうか。
「知的財産権」とは一般的に、特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権・営業秘密等の総称と言われており、特に特許権、実用新案権、意匠権と商標権の4つは「産業財産権」と呼ばれ、出願し、登録されることによって、一定期間、独占的に使用出来る権利となります。しかし、特許権は何となく敷居が高い感じがしますし、実用新案権、意匠権や著作権は一般企業にとってあまりなじみがありませんし、営業秘密は特定するのが難しいとの印象を持たれるかも知れません。
では商標権はどうでしょうか。商標権とは商品の識別標識である商標についての権利で、具体的には自社の製品を他社のそれと区別する為に付けられる名前やマーク等がそれに当たります。即ち、私達の周りを見ても、売られている製品の多くには、ブランドマーク等それぞれに固有のマークが付いており、製品や商品、サービス(役務)を消費者に安心して購入又は利用してもらう為の自らの証明であり、大変身近なもので且つ大変重要なものと言えます。
商標権が産業財産権の一つであることから、出願し、登録されれば、一定期間独占的に使用できますが、日本で出願、登録したからと言って、世界中で独占的に使用できるものではなく、ある国で独占的に使用する為にはその国で商標出願、登録をする必要があります。
日本の人口減少に伴い日本国内市場での売上の伸び悩みが予想され、日本企業は販路を海外に求めざるを得ない状況にあります。これまでは米国や欧州等が販路の中心でしたが、昨年のリーマンショック後は、所謂BRICsの市場、特に国家が積極的に内需拡大を図っている中国の国内市場が世界の注目を集めています。加えて、最近では中国のGDPが日本のそれを今年中に上回り、中国が世界第二位の経済大国になるとの報道もあり、中国市場への注目度は一層高まって来ています。
このように注目を集めている中国市場で自社製品を販売しようとするには、上述した通り先ずは自社製品の商標を中国で出願、登録しておく必要があります。
中国に進出されているお客様、これから中国へ輸出・進出をお考えのお客様の中には、中国で商標登録をしても、真似されるのが落ちで無意味と考えているお客様もいらっしゃるかも知れません。しかし未登録の商標を申請すること自体は犯罪ではありませんので、仮に日本の会社の商標が中国で先行登録された場合、先願主義によりその日本の会社としては法律的に争うことは難しくなりますので、商標登録は必須と言えます。
中国における商標登録の概要は以下の通りです。
| 1.根拠法: | (1)中華人民共和国商標法(1983年3月1日施行、第一次改正1993年7月1日施行、第二次改正2001年12月1日施行) (2)中華人民共和国商標法実施条例(2002年9月15日施行) |
| 2.登録許可機関: | 国家工商行政管理総局商標局 |
| 3.登録商標存続期間: | 登録日から10年間 |
| 4.登録更新の可否: | 更新可能、更新登録により更に10年存続可能。但し、期間満了前6ヵ月以内に登録更新を申請する必要があります。仮にこの期間に申請できない場合、6ヵ月の延長期間が与えられますが、延長期間内に申請しない時、その登録商標は取り消されますので、注意が必要です。 |
| 5.登録有効地域: | 中国国内 |
| 6.出願、諸手続機関: | 外国人又は外国企業(中国に恒常的な居所又は営業所を有しない外国人又は外国企業を指します)が商標登録の出願、諸手続を行なう場合、国家工商行政管理局が認可した代理機関に委任しなければなりません。外国企業が中国に現地法人を設立した場合には、その現地法人は外国企業ではありませんので、出願・諸手続を現地法人自身で行なうことは可能ですし、代理機関に委任することも可能です。なお当然のことですが、商標登録の出願又はその他の商標に関する手続における書面は中国語を使用しなければなりません。出願に当たって提出を要する各種証明文書や証拠資料が外国語である場合は、中国語の訳文を付けなければなりません。 |
| 7.異議申立期間: | 公示日から3ヵ月以内 |
登録完了までの所要時間については、製品等によって異なり、一概には言えませんが、出願申請が受理されてから最低15ヵ月程度は掛かるようです。
商標登録問題は、中国国内での自社製品販売ばかりではなく、中国を除く海外市場や日本市場でもお客様の業務展開に大きな影響をもたらす恐れがある為、これから中国への自社製品の輸出、中国での現地法人設立を考えているお客様や、既に自社製品を中国に輸出し、中国での現地法人を設立済のお客様でも、知的財産権保護の手始めとして、先ず商標登録を検討されるのが良いと思います。
加えて、中国での商標登録状況を監視する体制を整えられることが重要です。仮に自社ブランド名等が中国で商標登録申請された場合、上述した異議申立期間内(公示日から3ヵ月以内)に異議申立を行わなければなりません。もし異議申立期間内に異議申立を行わなければ(気が付かなければ)、その商標登録申請を阻止できません。
最後に一つだけ注意事項があります。自社ブランドを中国で商標登録申請し、異議申立期間内に異議申立がなく、商標登録証が交付され、無事に商標登録が完了したとしても、当該商標が3年間継続して使用されていない場合、中国商標局からその商標登録を取消される恐れがあります。即ち、中華人民共和国商標法第44条に商標局が期限を定めて是正を命じ、又はその商標登録を取消す場合の一つとして「登録された商標が3年間継続して使用されていない場合」が入っていますので、注意が必要です。商標登録後も安心せず、十分な管理が求められます。
弊社では、日本企業の中国への進出支援の一環として商標登録手続のお手伝いも行っておりますので、是非一度ご相談下さい。お待ち申し上げております。