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眞野輝彦コラム

2006.01.11 「金融緩和解除のタイミング」

―フローとストックの物価双方に目配りを―

 いま最も注目されている経済指標は物価である。理由は二つある。

第一は、物価指標の動向次第で超緩和流動性政策やゼロ金利性政策の転換が予想されるからである。最近、ドル円相場が5円近く円高に振れた背景には、米国金利の引き上げが間もなく打ち止めになるとの見方とともに、日本の景気回復から、やがて日銀が政策変更に踏み切るとの予測が先取りされていることが一因と思われる。

 第二は、金融政策への対応が、日銀と政府で異なることである。日銀は景気が回復に向かっていること、量的緩和の大きな理由であった大手銀行の不良債権問題の出口が見えたこと、ゼロ金利がもたらす短期市場機能不全状態に終止符を打つことなどを志向しているようである。他方、政府はまだ「デフレなのだから量的緩和の解除は慎重に」と日銀を牽制している。700兆に達する借金をかかえる政府が、支払金利の増加を招く緩和の解除に消極的なことは言うまでもない。

 問題は、物価をどの指標で判断するかである。日銀が政策転換の時期を「消費者物価のプラスが定着するまで」とコミットしていることから、前年比ゼロ近辺で小浮動している消費者物価に注意が集中しがちだが、前年比それぞれ約2%、20%上昇している企業物価指数や輸入物価指数など他のフローの物価指数も注視することが肝要である。やがて消費者物価にしわ寄せされるからである。

 より重要なのは地価や株価などのストック価格である。バブルの発生原因となった、円高対策としての緩和政策転換の遅れは、フロー指標のみを重視し、ストック価格を軽視した事にある。当時、引締時期についての意見交換のため日銀を訪問した時、対応に出られた理事の「流動性が土地や株に吸収されている限りインフレではない」との返事に愕然としたことが昨日のように思い出される。奥田経団連会長の「バブル期のような雰囲気を感じる」との発言もこの点を指しておられるのではないだろうか。フローとストックの価格指標をバランスよく把握し、政策の舵とりが実行されることを切望したい。

(注)

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