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眞野輝彦コラム
2006.02.10 「GNPとサービス産業」―都留先生の教訓―
1947年の第一回経済白書で「国も赤字、企業も赤字、家計も赤字」と戦後経済の実態を適切にまとめられた都留重人先生が2月5日にご逝去された。
私の一橋大学在学中は研究所教授で、学部での授業は担当しておられなかったが、兼松講堂での講演、中山伊知郎先生や来日された海外教授との公開討論など、冷静の中に気迫が感じられ緊張してお聞きした。
ある日たまたま図書館から出てこられた先生にお会いし、恐る恐る生齧りの米国GNPと資金循環との関係をお聞きしたところ、国立駅まで歩きながら、そして中央線の電車の中で、ゆっくり諭すようにお答えくださった。「君はアメリカ経済を買いかぶりすぎる。日本では主婦が家族の下着の洗濯をしているが、アメリカでは洗濯屋に出している。日本の主婦が隣家の洗濯をし、料金を相互に支払うと、日本のGNPはすぐ10%大きくなる」とおっしゃって電車を降りて行かれた先生の笑顔が今も忘れられない。
アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく時代から「国は相変わらずながら赤字、企業も家計も戦後とは様変わり」の状況の中で、最近の日本のモラルの低下を先生はどのような気持ちでご覧になっておられたのであろうか。
中国が先日、成長率の上方修正を発表したが、サービス産業の改定値が全体の改正値を上回っている。この件に関しても、隣家の洗濯をすることで、「経済実態は変わらないが、統計数字が変化することもあり得ることを注意せよ」との都留先生の教えが改めて思い起こされる次第である。
(注)
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