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眞野輝彦コラム
2006.03.10 「量的緩和政策の解除」―金融政策の本来の目的は何か―
日銀は3月8〜9日の両日開催された政策委員会での討議を踏まえ、5年間続いていた量的緩和政策の解除を決定した。この政策は、バブル崩壊から生じた、物価の下落と30兆を超える不良債権発生による金融不安という二つの問題に対応する緊急避難であり、プラスの消費者物価が4カ月続き、不良債権問題にも目処が付いていることから、当然の決定であり、市場もこの事を織り込んでいた。金融政策の選択肢が金利と資金量調整という二つの手段に戻された正常化であり、今まで金利調整のエンジンが停止し片肺飛行を強いられていた金融市場の機能回復に第一歩を踏み出したことになる。
もう一つの決定は、今まで日銀が「消費者物価が安定的に前年比ゼロ%以上になるまで」という量的緩和政策の停止条件を付けていたことに替わり、中長期的に物価が安定している数値目安を導入し、当面「消費者物価指数の前年度比上昇率を0〜2%程度」としたことである。これは金融政策の「透明性と機動性」の両立を図る苦心の指針なのであろうが、あらぬ弊害に繋がるリスクを内蔵している。既に「政策委員会の意見の中心は1%に集中している。消費者物価がこの辺りに達するまでゼロ金利が続く」という見方が出始めている。しかし金融政策の透明性は資金の供給者と需要者のバランスを計ることであり、この観点から重要なのは実質金利である。もし2月の消費者物価が1月と同様の水準となれば、ゼロ金利の継続は、実質金利は0.5%のマイナスとなり、金利調整が行われない事が、貯蓄者に不利、利用者(政府を含め)に有利というモラル・ハザードを生む事になる。少なくとも0.25%の引き上げが必要であり、それが出来ないと中長期的な目安もやがてその意味を失うことになりかねない。
既に欧米の金利は上昇しており、途上国発展による資金需要は大きい。15年間続いた日本の金利低下は、転換点に達しているのである。
(注)
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