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眞野輝彦コラム

2006.03.20 定期預金の金利引上げ ―日米銀行の利鞘格差―

 三菱東京UFJ銀行は3月20日より一年もの以上の定期預金金利を引き上げると発表した。引き上げ幅は金額、期間により異なるが、300万円未満、5年もので0.23%(従来0.1%)となる。約5年ぶりの預金金利の引き上げである。他方、長期固定金利による住宅ローン等の借り入れ需要も増加している。3月9日の量的緩和政策の解除を受け、市場長期金利が上昇していることへの対応であり、今まで凍結されていた金利機能が再び動きしたと言えよう。30兆円を上回っていた各銀行の日銀当座預金残高を一桁台にまで圧縮するには若干の時間も必要と思われるが、その間の景気動向、インフレ指標を睨んだゼロ金利解除のタイミングが益々注目されることになる。

 預金金利の引上げは、貸出金利に比べ市場金利との連動が遅れがちという批判に応えたものでもあろう。この点に関して注意すべき二つのことを指摘しておきたい。

 第一は、日銀が国会でのゼロ金利持続との関連質問に答えた、金利引き下げの前の金利が続いたことの比較では、「300兆円を越える家計の利子収入が減少し、借り手の負担が軽減された」という論議である。事実は全く逆で、物価がマイナスであるこの期間、負担が大きかったのは、金利負担とデフレ負担の二つを背負った借り手なのである。名目金利もさることながら、市場金利から物価変動を差し引いた実質金利が重要であり、0.5%の消費者物価が持続し、ゼロ金利が続くと、今度こそ預金者に負担がかかることになる。

 第二は、日本の金融機関の利鞘が米国と比較し、極めて薄いことである(下表参照)。

 原因はいろいろあろうが、基本的には郵貯も含め銀行の数が多すぎることによる過当競争である。どの程度の利鞘が適正なのかの論議が不可欠である。短期間のうちに3行に再編された大手銀行も含め、裾野の広い更なる統合・再編が進むことが予想される。

 

日米銀行利鞘比較(2004年度、全銀協)
日米銀行利鞘比較(2004年度、全銀協)

(注)

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