ホーム > 眞野輝彦コラム > 「日本の過剰外貨準備」―先進国と途上国の差―
眞野輝彦コラム
2006.05.10 「日本の過剰外貨準備」―先進国と途上国の差―
最近、外貨準備(本年3月末)に関する二つの話題が日本の新聞紙上を賑わした。一つは中国の外貨準備が前年同期比32.8%増、8751億ドルとなり、2月末に続き日本の外貨準備高8520億ドルを上回ったことである。もう一つはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)が保有する外貨準備高が主要七カ国(G7)の外準合計額を上回ったとの報道である。永年外貨準備世界一であった日本特有の取り扱いと言えよう。
そこでこのような単純な比較は意味が無く、先進国と途上国の外貨準備の意味の違いを充分認識することの必要性を強調したい。
第一は、途上国は、戦後の日本もそうであったように、自国通貨では輸入が出来ないため、外貨準備を積み上げる必要がある。自国通貨の交換性がない国ほどその必要性は強く、97年のアジア通貨危機の経験から、途上国は外貨準備を厚めに積み上げている。 一方、自国通貨に交換性がある先進国はその必要性が少ない。右図が示すように日本以外の先進国はむしろ外貨準備を圧縮している。
第二は、途上国の外貨準備の裏には、短期・長期の借款や債券、投資(直接及び証券)など、外国からの負債があることである。産油国を除き、途上国は通常対外債務が対外債権を上回る純債務国である。アジアの通貨危機は借りた資金が急速に引上げに起因したことは記憶に新しい。
日本は世界最大の対外純債権国でありながら過剰な外貨準備を抱える例外的な先進国である。老齢化が進めば貯蓄率は低下し、貯蓄は取り崩される。その貯蓄が巨額の外貨準備に固定されているのが現状である。外貨準備を圧縮し、その資金を国内に振り向け、住居・飛行場などの質を欧米並みに引上げ、豊かな生活に結びつけることが、構造改革の目的である。そのことが実現して初めて日本は真の先進国となるのである。
(注)
本コラムの内容は自由に引用していただいて構いませんが、引用される際は、必ず「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のホームページから引用」等の表現により、ソースを明記していただくようお願いいたします。