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眞野輝彦コラム
2006.07.11 「人口減少と労働生産性」 ―公的部門の効率化が鍵−
人口減少が現実のものになっている日本の経済規模を維持するためには、生産性向上が不可欠である。GDPは投入労働力と生産性の積であり、戦後の高度成長は人口増加と生産性上昇の相乗効果の結果であった。今後は総投入労働力が減少する部分を、生産性を引上げることで取り戻す必要がある。規模のメリットが減る中で、少なくとも労働生産性を維持出来なければ、生活水準は低下せざるを得ないことになる。
バブルの後遺症から立ち直った日本経済の成長率を模索しようと平成17年度年次経済財政白書をめくっていると、ショッキングなグラフ(別表)、日米の労働生産性と投入労働増減関係の比較表に目を奪われた。
通常、労働人口増加率(X軸)が増えると労働生産性(Y軸)は下落する。労働一単位当たりの資本装備率が減少するからである。逆に、人口増加率が減少すると労働生産性は上昇する。労働一単位当たりの資本装備率が増加し、経営者も労働減のマイナスを取り戻すため新設備投資を行うことになるからである。
米国のグラフはこの理論とおりの軌跡を描いている。しかし日本の労働生産性上昇率は高度成長期に入る以前から一貫して低下している。確かに上昇率は米国とは比較にならないほど高かった。鍬と人力が頼りであった農業に、トラクターが投入されたのだから高い労働生産性は当然である。しかし貯蓄不足、銀行のオーバーローンの状況で実行した設備投資の効果は何故少なかったのであろうか。
答えは産業別の生産性格差にあるようである。海外との競争にさらされる生産性の高い産業がある反面、規制と補助金で甘やかされた能率の悪い産業、更には前年度踏襲主義の官僚組織、既得権擁護の守旧政治などに足を引っぱられた平均値が、この直線的労働生産上昇率縮小に反映されているのである。
1988年以降の軌跡は、グローバル化という環境変化に日本システムが適応していないことの証左である。幸い、不良債権問題もほぼ片付き、民間主導の成長が始まっている。問題は巨大な借金を抱え、しかも非効率な公的部門の改革である。このことがポスト小泉にも、最大の課題であることは不変である。

(注)
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