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眞野輝彦コラム
2006.08.01 「郵政四社の効率化が不可欠」 ―改造ではなく改革を―
郵政事業四社の社長人事が、7月中旬にやっと決定された。日本郵政会社の設立から既に6ヶ月が経過しており、この人事が如何に難航したか分かる。原因は言うまでもなく4社とも現状の延長線上で利益を確保することが極めて難しいと予想されることにある。民営化のグランド・デザインそのものが旧組織全体を温存する前提で四社に分割された側面が強く、グローバリゼーションという潮流への適応、即ち組織の弾力化、効率化への道筋が見えないのである。
内外の競争に直面する大手銀行は、数年の間に3行に統合された。しかし日本には依然として130近い都銀、地銀、信託銀行などがあり、200を越える信用金庫、信用組合、更には農協などの特殊な金融機関も存在している。引き続き証券、保険、カードなど従来の垣根を越えた提携・合併も予測される。日本の金融機関の利幅が低いのは、貸し手の過当競争と生産性が向上し難いことが最大の原因だからである。
このような環境下での郵貯組織の民営化である。既存の民間金融機関との競争の中で郵政各社が利益を上げるには、組織の弾力化、効率化が不可欠である。しかし全体の職員の2/3を抱える郵便局会社は、特定郵便局長会の反対で「転勤なしの優遇処置の廃止」が難航している。この有様で郵貯銀行会社や郵貯保険会社が、政府の保証が無くなる中で民間金融機関と競争し、薄い利鞘の中から郵便局会社に手数料を支払い、利益をあげ得るのであろうか。
民間金融機関と民間企業は改革の痛みを乗り越え、収益力回復に努力している。単なる組織の改造は改革ではない。改革の本丸と言われるこの民営化が成功するためには、組織全体の改革、効率化が不可欠である。それが出来なければ市場の圧力で抹殺されることを確認し、民間出身のトップが各組織の改革に辣腕を揮われることを期待したい。
(注)
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