ホーム > 眞野輝彦コラム > 「交易条件の悪化」 ―原油高と円安―
眞野輝彦コラム
2006.08.18 「交易条件の悪化」 ―原油高と円安―
日本の交易条件悪化が続いている。交易条件は、日本製品1単位の輸出で何単位の外国製品が買えるかを示す指標であるが、この2年間で95から75へと約20ポイントも悪化している。換言すれば、2年前に95買えた外国製品が、75に減少してしまったのである。
下図(出所=日銀企業物価指数)が示すように、日本の輸出指数はほぼ横ばいに推移しているのに対し、輸入価格指数は恒常的に上昇し、このことが交易条件の悪化に繋がっているのである。
輸入指数上昇の主因は言うまでもなく原油価格の上昇にある。北朝鮮、中東、イランなどの地政学的リスク増大を反映し原油相場の高値は続きそうである。
このことに拍車をかけているのが、円相場が軟調に推移していることである。原油はほとんど米ドル建で取引されているが、円安は原油の円価格を上昇させ、国民経済への悪影響を強めている。輸入物価指数は二桁上昇が続いており、最近ガソリン価格が大幅に引上げられた。やがて消費者物価全般の上昇に繋がることは明らかである。
消費者物価が上昇しても高度成長時代のようにそれを上回る賃上げ可能であれば、GDPの最大項目である消費の足を引っぱることはないが、大競争の中で賃上げは期待できない。賃上げは経済活動を海外に押し出すことになるからである。
長い間続いたマイナス物価がプラスに転じ、ゼロ金利も解除された。経常収支の黒字に加え、物価が極めて安定している円は、物価上昇で購買力が減少している米ドル、ユーロに対し上昇して当然の筈である。円安はまた日本製品の安売りにも繋がっていることとあわせ、円安と交易条件の悪化の意味を改めて認識することが肝要である。

(注)
本コラムの内容は自由に引用していただいて構いませんが、引用される際は、必ず「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のホームページから引用」等の表現により、ソースを明記していただくようお願いいたします。