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眞野輝彦コラム

2006.09.20 「地方間の水平財源調整への疑問」

 間もなく発足する安倍内閣が小泉内閣から引き継ぐ課題の一つは地方分権の促進である。中央政府は巨大な債務残高を抱え地方交付税を含め歳出削減をせざるを得ず、税源移譲にも消極的になりがちである。一方94%の自治体が交付税に依存する中で、中央と地方の垂直財源調整は暗礁に乗りあげているのが現状である。この打開策として地方税の水平財源調整論が浮上している。国から地方への垂直的な調整が駄目なら、豊かな地方から貧しい地方へという水平的な調整を行う考え方である。しかしこの手法には問題が多い。
 第一は、この方法は、自由と責任、他者に依存しない自治を旗印とする地方分権の基本原則に反することである。国税とは異なり地方税の納税者に無縁な地域への移転は、大げさに言えば憲法に触れるとも思われる
 第二に、大都市には道路、テロ・災害対策など地方に比較し遅れているなど課題が山積していることである。私が今夏経験した一例を挙げれば、軽井沢の高速入り口から関越道練馬まで約150キロを2時間前後で走行したが、練馬料金所から目白通り、不忍通り経由で上野公園に近い自宅まで25キロ足らずに1時間かかった。往路は外環を経由したが、所要時間は殆ど変わらなかった。都市の生産性低下が、日本全体の生産性を低迷させていることは明らかである。地方には、良い空気、安い地価など都会にはないメリットがある。同じ所得の実質購買力は地方の方が高いのである。
 第三は、財源不足の原因根絶が不十分である。キャッチアップ時代の、歳入不足は国が補填するシステムは、国と地方を破綻させている。地方自治の原則は自己責任にあることを再確認し、公的経理の明確化、透明化が不可欠である。税収が45億円の夕張市が620億円もの借金が可能であった背後には暗黙の政府保証があった。自治体経理の不明確さを回避するため、地方債発行条件を緩和するなどは本末転倒である。

(注)

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