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眞野輝彦コラム
2006.10.31 「現代の人質」 ―対外純債権―
本年の大河ドラマ「功名が辻」も最大の山場である関が原の合戦が近づき、大阪方は東軍の家族を人質に取り始めた。
国際情勢が緊迫化するなかで、現代版人質の一つは、外貨建対外債権である。かつて朝鮮動乱の際に鴨緑江を渡って北鮮を支持した中国の米ドル資産を、米国が凍結したことは記憶に新しい。このリスクを回避したいという中国周恩来首相の要請に応え、米ドルを使用しない貿易決済方式である「円元決済協定」の考案に私が参画したのは1972年秋口のことであり、これが日中国交回復にも繋がったのである。
中国の外貨準備が日本を超える状況の変化の中で、このリスク観点が最も欠けているのが日本である。対外資産・負債の差額である純資産が、他の国に比較してずば抜けて大きいからである(下表参照)。中国は増大する資産に見合う債務も増えており、純資産は日本の1/5にすぎないのである。
このリスクを回避するためには三つの方法がある。
第一は、日本への資金流入を増加させ、対外債務を増やすことである。そのためには日本経済を海外投資者に魅力あるものにしなければならない。
第二は、輸出の圧縮と輸入の増加である。資源小国である日本が折角手に入れた生産資源を国内で使う余地は、空港、道路、住宅の質向上など、まだまだ大きいことは今更言うまでもない。
第三は、貿易・投資の円建化である。このことにより資産・負債を拡大させつつ、逆に、日本が手にする人質をも同時に増加させることになるのである。
いずれも世界的構造変化であるグローバル化に対応する日本の意識改革が不可欠なのである。換言すれば「輸出は善、輸入は悪」との戦後の途上国的意識を転換させる必要がある。小泉内閣の構造改革はその第一幕であり、安倍内閣による第二幕はこれから始まるのである。
| International Investment Position | ||||
| (10億ドル) | Assets | Liabilities | Net | 外準(金を除く) |
| 日本 | 4,290.87 | 2,759.11 | 1,531.76 | 834,275 |
| ドイツ | 4,634.43 | 4,365.23 | 269.20 | 45,140 |
| 英国 | 8,281.91 | 8,652.91 | ▲371.00 | 38,480 |
| 中国 | 1,218.17 | 930.69 | 287.48 | 821,514 |
| ロシア | 495.44 | 539.51 | ▲ 44.07 | 175,891 |
| (ドイツのみ2004年、その他は2005年) | (百万ドル05末) | |||
| (出所)IMF, "International Financial Statistics October 2006" | ||||
(注)
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