眞野輝彦コラム
2006.11.30 「コメはご飯ではない」
―食料以上に緊急を要するエネルギー政策―
食料の自給率と同様にエネルギー自給率の低さは危機の度に騒がれてはいるが、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の状態が続いている。二度のオイル・ショックを省エネで乗り切った実績が自信に繋がっているのかも知れないが、エネルギー政策不在が実情と言えよう。中国など市場原理を無視した獲得行動が激しさを増す状況だけに、自給率引き上げ対策は喫緊の課題なのである。因みに、農業の自給率がほぼ40%であるのに対し、エネルギーの自給率は17%であり、北朝鮮の核実験との関連で論議を呼んでいる原子力分を除くと、4%に過ぎない。主要国の常識である50%以上の確保と比較し、驚くべき低さのまま放置されているのである。
環境対策にもなることから、エタノール、熱量の高いブタノールのバイオ燃料や風力など新エネルギー開発が進められている。しかし日本の農産物価格の高さが、規制緩和や集約化などで是正されない限り、バイオの原料も輸入に頼らざるを得なくなる。期待されているバイオ・エネルギー作戦も、うっかりすると二重の意味で、自給率を不安定化させることになりかねない。
老齢化が進む日本を、自動車が使えない社会、医療機器が動かない社会、晴耕雨読をせざるを得ない社会に後戻りさせてはならない。コメはご飯ではない。電気釜にスイッチを入れないとコメはご飯にはならない。お釜でご飯を炊ける若い人たちがどのくらい居るのであろうか。例え炊けるとしても、お釜やかまどがある家庭は殆ど無いであろうし、あったとしても都会では、かまどにくべる薪の入手が難しい。
もう一度繰り返す。「コメはご飯ではない」。食料の自給率引き上げ以上に、エネルギーの自給率を引き上げる、腰の据わった政策が不可欠である。
(注)
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