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眞野輝彦コラム

2008.02.01 「企業収益と賃金のDecoupling」

―消費主導経済への課題―

 1月23日、日本経団連と連合は東京・大手町の経団連会館で、今年初めての首脳懇談会を開いた。2008年春闘のスタートである。連合側は企業内に留保され過ぎている利潤を、安定した成長を果すために家計に配分することが重要と主張するのに対し、日本経団連は一律の賃上げには慎重なスタンスを崩していない。
 「春闘」の文字が新聞の見出しになるのは久しぶりであり、背景には企業収益の回復があることは言うまでもない。しかしGlobalizationが浸透し、日本の賃金水準が周辺国との比較で高い水準に達しているなかで、企業収益と賃金がDecouple(切断)されていることの再確認が必要である。たとえ企業収益がよくても、生産性上昇以上の賃上げは企業活動を国外に押し出すことになる。戦後の対外閉鎖体制(Closed System)であった状況とは異なり、企業は日本人労働者を雇うか海外労働者を雇うかの選択肢を持つOpen Systemなのである。大幅な賃上げは期待できないのが実情である。
 折も折、原油、穀物価格の高騰から、消費者物価が昨年同月比0.8%上昇した。政策金利を上回る上昇である。更なる物価上昇も予想され、消費者の実質購買力は減少するStagflationに突き進むことになる。Stagflationを防ぐためには、海外に比較して割高な国内物価を下げるしかない。手段は二つある。
 第一は、円高政策である。円高は波打ち際で物価上昇を防ぐ防波堤である。輸出に悪影響が出ると反対論も強いが、円の実質実行相場は、下図に示すように30%近く円安にぶれているのである。
 第二は、戦後の規制が残っている更なる規制緩和の見直しである。ここに福田首相が施政方針演説で消費者行政の一元化を表明した目的がある。消費者行政は内閣府や厚生労働、農水など10省庁にまたがり、それぞれ所管する法律が異なるため、縦割りの弊害が指摘されている。官僚の抵抗も予想されるが、総理の言うように各省庁への「司令塔」の役割を持たせ、各省庁に是正勧告する権限を与えることが必要である。官庁の焼け太りをさせることなく、このシステムを早急に有効なものとすることが、福田内閣の最大の課題である。

円の実質実効為替相場の推移
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(注)

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