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眞野輝彦コラム
2008.03.03 「バーナンキ議長発言への3つの疑問」
―対照的な日米のStagflation対策―
不況とインフレーションの同時発生、いわゆるStagflationリスクが増大する中で、バーナンキ連銀議長の下院金融サービス委員会での発言が注目された。日本政府や日銀の対応とは力点の置き方が対照的な3つの点を考えてみたい。
第一は、自国通貨安への対応である。議長はドル安が輸入物価の上昇によりインフレを加速させることに懸念を示している。だからこそ米国はドル高という旗印を掲げ続けている。一方日本は円安の輸出促進効果を重視し、原油・穀物などの物価上昇を加速させるネガティブ効果には目をつぶっている。2月1日このコラムで取り上げた「企業収益と賃金のDecoupling」による賃金の上昇が限定されている環境下で、円安が消費圧縮要因である事が充分認識されていない。通貨価値の安定が最重要任務である日銀は、円安即ち円の対外価値減少への対策は自分の守備範囲外のことと思っているようである。
第二は、低金利への認識である。議長は米ドルが国際的な投資家に魅力があることを反映して短期金利が低いと発言している。円金利は米ドル金利よりはるかに低いのだが、果たして世界の投資家を引き付けているのであろうか。ユーロに対し米ドル安、円安に振れていることは、資金が逃げ出している結果なのである。
第三は、議長が極めて建設的だと評価しているSovereign Wealth Fundへの対応である。SWFは市場での資本増強が難しい米国金融機関にとっては白馬の騎士かもしれない。しかしそのコストは市場金利より高い。かつて日本は欧州市場での外貨調達で、市場金利より高い金利、いわゆるJapan Premiumを支払った経験がある。いま米国はリスク上昇による追加コストを支払わざるを得ない状態なのである。
日米の経済・政治環境は大きく異なり、対応策が異なることは当然である。政策の最終目標は国民生活の安定向上にある。どのような金利、為替、SWF対策がわれわれの利益に繋がるのか、消費者の一人ひとりが考えることが肝要である。
(注)
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