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眞野輝彦コラム
2008.06.20 「文科省・金融庁の金融教育の充実要請の背景」
5月20日、文科省と金融庁は連名の国公私立大学学長宛書信で、金融教育の充実を要請した。昨年12月21日に金融庁より公表された「金融・資本市場競争力強化プラン」のなかで「高度かつ実践的な金融教育の充実と高度金融人材の活用促進」が盛込まれたことを受け、各金融業界団体(全銀協、日本証券業協会、生命保険協会、日本損害保険協会、信託協会及び国際銀行協会)が「大学・大学院等との連絡窓口」を設置した。
この書信は大学・大学院がこれらの窓口を有効活用し、高度且つ実践的な金融教育を充実させることを要請したものである。この背景を考えてみたい。
最大の要因は、日本の金融資本市場の競争力が劣化し、海外からの資金流入が少なくなるばかりでなく、日本の貯蓄が海外に流出していることである。日本経済への投資や日本の金融資本市場での資金運用に魅力がなくなっていることが原因であることは言うまでもない。
敗戦後焼け野原の日本経済を復興するため、少ない貯蓄を各分野に有効に配分させるため、間接金融を中心とする金融システムが官主導で構築された。このシステムが高度成長を実現させ、日本の先進国入りに大きく貢献したことは疑いがない。しかしこの成功体験と官民の現状維持思考が、貯蓄余剰の時代に入った後の金融・資本市場改革を遅らせ、同時に円の国際化の阻害要因にもなった。
資金流出の影響を一番うけるのは中央・地方合算で1000兆円に達する公債残高を抱える公的部門である。公債の引き受け手がなくなり、金利が1%上昇すると金利負担は10兆円増加することになる。他方国の歳入は50兆円前後しかないのである。
成長率を高め、エネルギー価格上昇に対応する為にも技術革新が必要であり、同時に金融の競争力回復のためには、その担い手の育成が不可欠である。ここに掲題書信の目的がある。金融界と教育界との協力が実ることを期待したい。
(注)
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