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眞野輝彦コラム

2008.07.01 「外国株の東京上場減少の背景」

―金融商品取引所の集中と効率化―

 日本の金融商品取引所に上場される外国株式数の減少に歯止めがかからない。1990年代初めには120社を越えていた外国株数は、最近のBP社やBoeing社の上場廃止で、22社に落ち込んでいる。この原因を考えてみたい。
 なお2007年9月に施行された金融商品取引法で、証券取引所と金融先物取引所の規定が統合され、「証券取引所」は「金融商品取引所」に名称変更された。
 最大の原因は、金融の自由化、グローバル化による取引所間の競争激化である。金融商品に限らず、市場の機能は集中度が進み、規模が拡大するほど効率化するのだが、同時にコンピューターなどの投資コストも増加する。当然、吸収、合併など統合が促されることになる。IT技術の進歩とあいまって、統合が進めばすすむほど世界のどこの市場にもアプローチが可能になり、コストがかかる外国市場への上場インセンチブは低下することになる。
 日米欧の取引所集中の現状は下記のとおりである。
 日本国内では9ヵ所あった取引所のうち、神戸、広島、新潟、京都が閉鎖され、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の5カ所となり、同時に取引の東京集中も進んでいる。そこで各取引所は外国市場や新興市場などとの提携を模索している。
 欧州では1999年のユーロの登場が競争激化に拍車を駆けた。各国通貨建であった手数料などのコスト比較が単一通貨導入で明確化されたためである。フランス、オランダ、ベルギー、ポルトガルの提携によりEuronextが誕生し、ロンドン、北欧各国を含む各国取引所提携などのニュースが数多く伝えられる背景でもある。
 ニューヨークへの集中が進んでいる米国では、エンロン、ワールド・コムなどの不祥事を契機に「上場企業会計改革及び投資家保護法(いわゆるSOX法)」が制定され、上場基準が強化された。因みに、ニューヨーク証券取引所の上場企業数は約2,800社。そのうち外国企業は約460社、日本企業は19社である。
 これらの地域内統合からグローバル統合が予想されている。この競争激化の中で生き残るには規模拡大による効率性に加え、下記の条件を満たすことが不可欠になる。即ち、

  1.株式、債券に加え、多くの魅力ある金融商品が上場されていること
  2.市場流動性が高いこと
  3.透明度の高いDisclosureや会計基準が維持されていること
  4.Insider取引など関係者の規律とモラルが高いこと
  5.内部管理やシステムの強靭さ

これらの条件の充足が、日本の金融商品取引所が生き残る必要条件なのである。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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