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眞野輝彦コラム
2008.08.01 「WTOジュネーブ閣僚会議の決裂」
―戦後の国際機構全体の見直しが不可欠―
ジュネーブで153の国と地域が参加して開催されていたWTO閣僚会議は、農産物の急激な輸入増に対するセーフガード(緊急輸入制限措置)問題を巡る条件交渉が纏まらず、7月29日、時間切れ決裂した。7年越しとなるドーハ・ラウンドの論議を踏まえた事務局の調停案を軸に妥結の可能性があったこの閣僚会議が、新しいメッセージを世界に送ることが出来なかったことは極めて残念である。新ルールが決まれば、原油や食糧価格の急上昇で高まりがちな保護貿易ムードを抑制することが出来るからである。しかも米国大統領選挙を終え新政権が軌道にのる2009年半ば頃まで、閣僚会議再会の目途は立たず、この問題の足踏状態が続くことになるのである。
洞爺湖サミットと同様、今回の閣僚会議でも先進国と急速に発展する国との利害対立が目立った。多くの国が参加する会議ほど、議論の集約が難しくなる。このため少数の主要国が妥協可能な基本案を練ることが必要になり、今回も少数国会議が開催されている。問題はこの少数国に誰が参加するかである。世界経済や貿易への影響力が大きい国であることは言うまでもないが、同時に自由経済体制の運営に責任を持つ国であることが参加資格でなければならない。日本も戦後の発展過程で同じように世界との種々の摩擦経験をした。インドなど急速に発展する国の主張も分からないではない。しかし洞爺湖での環境問題で見られたように、責任を先進国に押し付け、自らの責任を回避するような対応では参加資格を問われることになる。
少数主要国の参加資格問題はWTO会議に限らず、国連の常任理事国(拒否権)と財政負担問題とも関連する。金・米ドルを基軸とする調整可能な固定相場というIMFも既に形骸化している。戦後半世紀を経過し大きく変化している世界情勢に対応する国際機関全体の見直しに関連する問題なのである。
(注)
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