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眞野輝彦コラム
2008.08.13 「第三段階に入ったサブプライム問題」
―日米不動産市場の差―
サブプライム問題が第三段階に突入している。第一段階は、言うまでもなく問題の根源となった住宅価格低下による住宅ローン借手の返済不能の多発である。第二段階は、住宅貸付の証券化やその一部を組み込んだ複合担保証券の価格下落による金融不安の発生である。金融機関のみならずこれらの証券を購入した個人、ヘッジ・ファンドなどを巻き込み、同時に欧州などへの地域的波及をもたらしたのである。第三段階は、米国の金融緩和、減税、更には公的資金投入法が可決されたにも拘らず、米住宅価格が下げ止まらず、米経済と米ドルへの不安が、原油・農産物高の一因となり、世界的なスタグフレーション・リスクを拡大させている現状である。
日本のバブルとサブプライム問題を比較すると、大手金融・証券会社の破綻、住専に始まる公的資金の投入と同じような経過をたどっているのだが、異なるのは日米の不動産市場の住宅価格形成能力に大きな差があることである。
米国では住宅借入と貸付担保である住宅をセットにして売買する市場が存在する。このことが金利変動を不動産市場に反映させる効果をもたらしている。今でこそ日本でも商業ビル等のREIT市場が育ってきたが、当時の不動産市場には透明度のある価格形成力が無く、日本の金融機関は不動産担保の迅速な処分が出来なかった。このため金融機関の不良債権整理に時間がかかり、失われた10年に繋がったのである。対照的に米国では担保処分が迅速に行われている。このため政府の諸対策にも拘らず不動産の市場価格がさらに下落し、サブプライム問題は金融問題と同時に実体経済悪化、ドル不安という第三段階に突入している。しかし逆にこの迅速な処理が、米国の不良債権処理は日本ほど長くかかることはないとの予測に繋がっているのである。
世界経済がインフレと景気の双方への対策が必要な難しい局面に入る中で、日米不動産市場の違いを再確認し、日本の不動産市場の価格形成力を改善させることが、海外に流出している日本の貯蓄を国内に回帰させ、海外からの投資を呼び込み、景気を回復させるための不可欠な必要条件なのである。
(注)
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