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眞野輝彦コラム
2008.09.11 「Decoupling論への疑問」 ―相互依存度は更に加速―
Paulson米財務長官は9月7日(日)に記者会見し、経営危機に陥っているFannie Mae(連邦住宅抵当公社)とFreddie Mac(連邦住宅貸付抵当公社)を7月末に立法化された住宅公社支援法に基づき、政府の管理下に置くことを発表した。両社が保有する住宅または保証する住宅ローン関連証券額は5兆3000億ドルと全体の半分以上を占めている。名前に公社が付いているために誤解されがちだが、両社は株式市場に上場されている株式会社であり、その株価は急落している。この措置の目的が米国金融市場及び実体経済の悪化、更には世界経済への波及を阻止することにあることは言うまでもない。
米国経済悪化が始まった段階で、世界経済のDecoupling論が聞かれるようになった。米国経済が落ち込んでも、欧州やBRICsなどの成長がその穴埋めをするため、世界経済の悪化は避けられるとの論調である。殊に財政・金融が手詰まり状況にある日本では、この希望的論調が強かったのである。
しかし現実におこっているのはStagflationの世界的同時発生であり、DecouplingではなくむしろSynchronizationが強まっているのである。Globalizationの進展が、各国の相互依存と連鎖関係を深化させている証左である。もしDecouplingが期待できるのであれば、経済を先読みする米国の株価が下落しても、BRICsなどの株価は上昇する筈である。しかし各国の株価は米国株に追随して下落している。殊に中国、ロシアなどの株価は、先進国株以上に急落しており、また日本株の米国株追随度は強まっているのが実情である(下図参照=日経新聞)。
3月中旬のこのコラム欄で、実際に起こっている日本のDecouplingは企業収益と賃金との関係であることを指摘した。企業収益が良くても賃上げが難しい背景には、企業がどこの国で経済活動を行うかの選択肢を提供するGlobalizationの進展がある。
米国が住宅問題に公的資金注入を決めたこの機会に、Globalizationが各国・地域のDecouplingではなく、相互依存度を加速させている事実を再確認しておきたい。

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眞野 輝彦 (まの てるひこ) | ||||||||||||||||
| 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事 | |||||||||||||||||
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(注)
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