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眞野輝彦コラム
2008.10.10 「公的資金による債権買取と資本注入」 ―日本の経験―
米国の公的資金による最大7,000億ドルの不良債権買取を可能にする金融安定化法成立や中央銀行の強調利下げにも拘わらず、世界の株価は下げ止まらない。10月9日の米国ダウ平均株価終値8,579.19は丁度一年前に付けた高値14,164.53から40%近く下落し、日本の株価も今年の最安値をつけている。米国の金融安定化法の効果が見られない理由は二つある。
第一は、この法案による不良債権買取が、何時から、どのような価格で、どの金融機関から始まるのか等の具体的な手順が必ずしも明確ではないことである。
第二は、不良債権の買取のみならず、体力の弱った金融機関の資本金補強対策が必要だからである。不良債権の買取は、病気にたとえれば、外科手術で癌を取り除くことだが、手術後の病人の体力は衰えており直ぐにもとのように仕事が出来るわけではない。体力回復には資本金補強が必要であり、市場での自力調達が出来なければ、公的資金の注入が不可欠だからである。各国政策金利の協調利下げは、体力の衰えた病人に漢方薬を飲ませているのに似ている。英国は既に資本金補強対策を発表したが、株式市場は米国に公的資金による資本金強化策を催促していると言えよう。
日本は95年の住専に6,850億円の公的資金を投入したが、97年の北海道拓殖銀行や山一證券の破綻、98年の長期信用銀行破綻を経験し、金融再生法が導入されたのは98年10月である。この時間的な遅れが失われた10年の大きな原因となった。
その原因は三つある。
第一は、住専への公的資金の投入への世論の反発である。
第二は、橋本内閣が参院選での惨敗により生じた政治的空白である。
第三は、金融庁が分離され、金融行政が過渡期にあったことである。
米国の現状は、大統領と議会選挙を前に政府はレーム・ダック化し、議会も選挙民に目が向いている状況は、日本の当時の状況に類似している。その隙間を見透かした株安はまだ底が見えない。いわんや実体経済への悪影響は先進国、途上国を問わず、始まったばかりなのである。
(注)
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