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眞野輝彦コラム

2008.11.21 「米ドルは腐っても鯛」

―各通貨の実情を直視し協力の積み上げを―

 11月15−16日にワシントンで開催された金融G20サミットで、フランスのサルコジ大統領が「米ドルはもはや基軸通貨ではなくなっている」と発言したことが報道された。ニクソン・ショックを経てフロートに移行した米ドルが、戦後のブレットン・ウッズ体制下での基軸通貨と異なることは明らかである。しかし残念ながら米ドル機能を代替する通貨が存在していないことも認めなければならない。ユーロ地域のGDP総額は米国を上回り、金融政策こそECBに集中されてはいるものの、財政政策や金融監督機能は各国がそれぞれ管理しているのが実情である。原油、農産物などの国際取引や準備通貨として使われる比率は、米ドルにはまだまだ及ばないのが実情である。円の国際取引利用率は更に低く、むしろ低下傾向にある。中国元に至っては未だに基本的交換性が無いのが実情である。ドル円相場が戦後の360円から100円割れに下落していることに象徴されるように、確かに米ドルという鯛に腐りつつある部分があることは否定できないのだが「腐っても鯛」なのである。この現実を直視し、世界同時不況の建て直しに全ての参加国が協力を積み上げなければならない。勿論、並行して長期的視点での国際決済システムの構築努力が不可欠であることは言うまでもない。
 この会議で意見の一致を見たように、各国が独自の国内政策で景気を浮上させることは勿論大切である。しかしその結果が、国際的金融不安解消に結びつく為には、対外赤字国である米国の過剰消費体質改善と並行して、黒字国の輸出依存体質の是正が不可欠なのである。オバマ新大統領は、中流階級以下の米国社会の梃入れで、格差解消を目指しているようである。米国の雇用を奪っていると思われがちな中国や日本など対米黒字国には厳しいものになることも予想される。しかし日本自身のためにも輸出依存体質から消費者中心の国内成長路線への構造改革が必要なのである。資源小国の日本が折角手に入れた原材料を輸出に使い、不安定なドル資産を積み上げることは合理的政策とは言えない。それは円で輸入ができなかった時代の話である。ヒト、モノ、カネを国内に集中させることが少子高齢化社会に必要なのである。消費者庁の早期実現が望まれる所以である。

(注)

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