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眞野輝彦コラム
2008.12.01 「戦後第二回目のDollar Shortage」
米国の中央銀行である連邦銀行が国内で米ドルを大量に供給し、同時に主要国の中央銀行とスワップ協定を結び、各国で米ドル供給を依頼しているにも拘わらず(10月21日付本コラム参照)、世界的金融不安と実体経済の悪化が戦後第二回目の米ドル不足とも言うべき状態を巻き起こしている。第一回目の米ドル不足は言うまでもなく、第二次世界大戦終了直後に発生した。国内の生産設備を戦火で失い、復興に必要な資源、原材料の調達が必要になったが、戦勝国の英、仏も含め自国通貨の交換性がなく、輸入に必要な米ドルが不足したのである。このため米国はマーシャル・プランなどで米ドルや物資を供給した。日本も復興のための輸入拡大でドル不足となり、成長を押えるStop & go政策の道を歩まざるをえなかった。第二回目のドル不足は、第一回目と異なり、米国も含む全世界的な現象である。その原因を考えてみたい。
第一の原因は、海外への米ドルを原資とする投資(主として証券投資)が、金融危機による米国内の流動性不足、損益補填などの目的から、流入国(アイスランドはその典型的な例である)から引き上げられ、米国に還流しているからである。このことが米ドル金利の引き下げにもかかわらず、円以外の通貨に対し、米ドル高をもたらしているのである。ブラウン英首相はCityが外国通貨である米ドル建て取引に過剰に依存したのは政策ミスであったと反省の弁を述べている。
第二は、マネーの回転速度が急速に低下したことである。昨年来米国のマネーサプライはむしろ増加しているにも拘わらず、サブプライム問題を生み出した過剰流動性の状態から短期間に逼迫に転じることになったのは、この回転速度の変化が大きな原因である。IT技術の活用がマネーの乗数効果の高まりとそのはげ落ちの落差を大きくしていることは言うまでもない。
第三は、金融不安による相互不信から、信用創造機能が低下していることである。貸し渋り、貸し剥がしが各国で発生している。銀行に課せられた資本金比率規制がその根底にあり、さらにその規制を迂回する証券会社やヘッジ・ファンドなどを利用したカネの急膨張が逆回転に転じているのである。
IMFや世銀の機能拡大が論じられているのは、各国中銀や商業銀行の低下した信用創造機能を補完するためである。しかし緊急を要するのは、各国がそれぞれに最適な手段を駆使し、自国金融機関を整理し、機能不全から脱却させることである。
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眞野 輝彦 (まの てるひこ) | ||||||||||||||||
| 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事 | |||||||||||||||||
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(注)
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