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眞野輝彦コラム

2008.12.11 「経済変化の両面のバランスよい把握が肝要」

―変動方向と同時に水準そのものの比較も―

 世界的な景気悪化の中で経済指標の悪い側面のみが強調されがちである。失業率が上昇し始めた、ボーナスも減少する、経常収支が赤字になった、などなどである。悪いことは事実なのだが、物事には両面がある。経済変化の両面をバランスよく把握して将来を予測し、対策や生活設計することが肝要である。その典型的なフローとストックの例を一つずつ述べたい。
 フロー面の例は、原油価格と円高の相乗効果による価格効果である。一頃1バレル150ドルを超え、やがて200ドルにとの予測もあった原油価格は50ドルを割り込んだ水準近辺にある(下図参照)。経常勘定が赤字に転落した最大の原因は原油価格の上昇により輸入額が急拡大したことにある。価格下落による輸入額の減少が経常勘定を好転させることは言うまでもない。
 この下落に円高が加わり、ガソリンスタンドの店頭価格は100円を割り込むものも出始めている。原油高でストまで実行した漁業関係者もこの恩恵を受けており、支援の必要がないどころか、お釣りがくる価格である。サラリーマンにとっては月給やボーナス減少が予想される中で、この価格低下は家計の大きな助けになる。円高は輸出に悪影響があることは言うまでもない。しかしスーパーなどの円高還元セールを可能にする円高は消費者にとっては福音なのである。
 ストックと水準の例に移ろう。不動産価格の下落で、関係業界の倒産も増えている。しかしマンションと年俸比率の推移を見ると、1998年度末の7.11倍から昨年度末には9.59倍まで上昇した。手の届かなくなったマンション価格が低下し始めたことはサラリーマン家計には良いニュースである。給与との比較で高くなりすぎた価格の是正が始まったのである。
 経済現象には両面がある。供給者と需要者の利害が相反することは繰り返すまでも無い。まだ当分は悪い指標が増えることが予想されるが、物事の両面をバランス良く把握し、対策を考えることが肝要である。

原油価格動向
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眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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