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眞野輝彦コラム

2009.01.21 「経済不安と安全不安」 ―政権交代の意味―

 1月20日に正式に米国大統領に就任したオバマ大統領は、二つの難しい課題に直面している。一つが米国経済の立て直しであることは言うまでもない。もう一つはイスラエルとパレスチナ問題などの外交問題である。非戦闘要員に大量死傷者が出たことや国連ビルなどへの攻撃で国際的に反イスラエルのムードが高まる中で、対話を重視することを公約に掲げたオバマ新大統領が、イスラエルよりの米議会や国際社会とどのように対話するのかを世界中が注目しているのである。
 しかしこの問題は他人ごとではなく、日本の問題でもある。わが国では、経済対策が最大の課題との論調が強いが、消費者が財布の紐を引き締めている原因は、将来への生活不安が強まっているためである。生活不安というと年金、医療・介護などが頭に浮かぶ方が多いと思うが、最大の不安は生命不安である。最近、国内でも血なまぐさい事件があとを絶たないが、近隣国のなかにはミサイルの照準を日本に合わせている国があることを忘れてはならない。
 麻生内閣の支持率低迷から政権交代期待が増えている。しかし交代そのものが自動的に将来不安を解消させ、生活の安全に繋がるものではないことを指摘しておきたい。ヒラリー・クリントン新国務長官は先頃日米安全保障関係を重視する発言をしたが、もし国連中心主義を主張する小沢内閣に交代すると、日米安保体制にどのように対応するのか詳らかでない。国連決議を重視するだけでは日本の国益は守れない。また国際対話が不可欠の時代である。首相の任務は往復飛行機の中で睡眠せざるを得ないこともある激務なのである。小沢党首本人はその激務に耐えうると思っているのであろうか。選挙民の冷静な判断が必要である。
 米国では大統領就任後約三ヶ月はHoney Moonの時期といわれるが、新大統領は経済と外交問題に6ヶ月くらいの間に一定の目途をつけないと、「Change」に対する強い期待の反動が出る可能性もある。そうなると政権を交代するだけでは意味の無いことを日本の選挙民に再確認させることになり、このあたりが日本の総選挙のタイミングになる可能性が高くなるのではなかろうか。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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