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眞野輝彦コラム

2009.03.11 「需要不足なのか、過剰供給なのか」

―日本の需要拡大政策の限界―

 日本経済の急激な落ち込みが続いている。この速度の落ち込みが半年続くと日本経済活動は昨年の半分となってしまう。実質ゼロ金利の状況下で企業CPの買取など追加的量的対策がとられ、期末に向かっての中小企業への保証枠拡大などの対策が行われているのだが対症療法以上の効果は期待できそうもない。そこで待望されるのがケインズ流公共政策による総需要拡大であり、米オバマ新政権はじめ中国など世界各国が需要政策の金額を競い合う情況になっている。ところが日本では政治とカネをめぐる疑惑が発生し、議会での前向きな論議は一向に進む気配がない。この機会に日本需要政策の問題点を指摘しておきたい。
 第一は、日本はGDPの1.8倍に達する世界に類のない累積公的債務を抱えていることである。この累積はその都度「今が最大の危機、赤字国債発行も止むを得ない」との言い訳と今また与野党に発生している公共事業に関わる不詳事件が繰り返されてきた結果なのである。数次に亘る政治資金規正法改正にも拘わらず政治家の金銭問題が繰り返される政治体質を変えるには、選挙民の意識改革が不可欠なことは言うまでもない。
 第二に、この急速な景気後退は日本経済の輸出依存体質に起因している。通常景気が悪くなると輸入が減り、GDPへのマイナス効果を抑制するのだが、「ラーメンからミサイルまで」国産という体質が持続しているため、この景気後退のバッファー機能が効きにくい体質にもなっているのである。換言すれば、日本経済の現状は、需要不足というより、過剰供給に起因するのである。この体質を変えない限り、日本の景気は海外需要が無き限り回復しないことになる。
 少子高齢化社会は輸出主導経済とは全く異なる医療、介護などの商品やサービスを必要としている。この供給サイドのミスマッチ是正が景気回復の鍵なのである。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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