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眞野輝彦コラム

2009.04.13 「二つのLast Resortの変化」

―追加経済具体策策定の注意事項―

 今回の世界同時不況の根源が米国サブプライム問題に端を発する金融不安と実体経済の縮小にあり、この不況からの脱出には金融の安定と実体経済の拡大が不可欠なことは言うまでもない。
 金融安定策実施の窓口が各国中央銀行であり、中銀がLender of Last Resortと呼ばれる理由である。ところがこの中銀機能にも変化が現れている。拡大しすぎた市場のLeverage機能が急縮小に転じる中で、米国中銀FEDは海外金融市場での米ドル供給機能を直接果たすことが出来なくなり、主要各国中銀とSwap協定を結び、米ドル供給をその市場国の中銀に委任したのである。この協定は更に14カ国に拡大され、内容も強化された。金融Globalizationの拡大と深化の反映と言えよう。
 もう一つのLast ResortはSpender of Last Resortと呼ばれる米国の消費である。今回の不況の発端は、右肩上がりの住宅価格持続を前提とする米国の過剰消費とその急速な縮小である。対米輸出に頼りすぎた日本、韓国、中国、産油国など各国は、この米国の消費バブルと崩壊に振り回される結果となった。
 米国の消費者はこの経験に懲り貯蓄率を上昇させ(下図参照)、その結果貿易赤字は縮小に転じている。この傾向がどこまで続くかは定かではないが、各国はこのSpender of Last Resort依存の体質を変える必要がある。(参照3月11日付コラム「需要不足なのか、供給過剰なのか」)
 麻生内閣は10日財政支出(真水)が15兆4000億円、事業規模は56兆8000億円という過去最大規模となる追加経済対策を決定したが、具体的個別政策はこの二つのLast Resortの変化を充分認識し内需主導の構造改革に集中しなければならない。

米国実質個人消費と貯蓄率
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眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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