眞野輝彦コラム
2009.04.21 「貸出金利の非連続性」
―サブプライム貸出のすすめ―
改正貸金業法は衆参両院で全会一致可決され、2006年12月20日に公布、2007年12月19日より施行された。この改正で出資法の上限金利を20%に引き下げると共に、貸金業法の上限金利を利息制限法と同一とし、みなし弁済も廃止された。
上限金利の引き下げで、いわゆるグレー金利問題などが明確化したことは歓迎すべきなのだが、実体金融面では上限金利引き下げが貸金業の採算を急速に悪化させていることにも注目する必要がある。上限以下の金利収益では貸金業界は不良債権償却が出来ないからである。銀行と貸金業界の統合が進む中で、この問題は貸金業界のみならず日本の金融全体の問題と言えよう。
貸出金利は借手の信用状態、即ちリスクに対応し異なることは言うまでもない。しかし日本の金融機関全体の貸出金利の分布をみると、銀行の貸出金利は貸出期間にもよるが現状で高くても5%前後である。因みに、国内約定平均金利は2%を下回っている。他方、貸金業界の最も低い金利は15%前後である。即ち、金利6〜15%の貸出が行われていないのが実情である。換言すれば、借手は一般の銀行で融資が受けられないと借入金利は一挙に15%以上に跳ね上がることになる。金利の非連続性は市場機能の欠如を意味し、わが国金融市場の後進性を示している。原因は実質的な金利や貸出規制の存在、格差を付けることへの反発など裾野は広いのだが、結果として金利の機能不全を招いている。
世界同時不況の原因となった米国のサブプライム問題の背景には、融資先不足、バーゼル協定による資本金比率を迂回する証券化、不正確な格付などがあった。逆に、日本の貸出金利の非連続性は、リスクに見合う金利での貸出、即ちサブプライム貸出などの貸付の多様化が必要なことを示している。借手は15%以上で借りるよりは、自己のリスクに見合う5〜15%の中間金利で借りたほうが良いに決まっている。
不況のさなか政府保証などによる繋ぎ資金の貸出が必要なことは言うまでもないが、反面目先の政策処置が真の問題を先延ばしし、かえって傷を大きくしかねないことも忘れてはならない。不況のさなかだからこそ、リスクに見合う金利での貸出が、貸手のためにも、借手のためにも必要なのである。
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眞野 輝彦 (まの てるひこ) | ||||||||||||||||
| 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事 | |||||||||||||||||
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(注)
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