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眞野輝彦コラム

2009.05.01 「規制が規制を生むスパイラル」

―EUのファンド規制―

 EUは、金融の世界的混乱の大きな要因となったファンド対策として、認可制や自己資本規制などを導入することが明らかになった。EU委員会は欧州議会などの承認を得て2010年に実行を目指している。
 世界的金融混乱の一因がHedge Fundなどによる資金運用のレバレッジ拡大と急激な縮小であることは間違いない。しかしその根源を辿ると金融機関の資本金規制、いわゆるバーゼル合意(Basel I)にたどり着く。グローバル化が進む中で、各国の銀行規制や行動基準が異なることへの対策として1988年に導入されたこの規制は、リスク資産と資本金の比率を一定以上に保つことを銀行に義務付けるものである。導入の隠れた目的の一つとして薄利多売の日本の金融機関の押さえ込みがあった。バブルに浮かれた日本資本がNYのRockfeller Center買収に象徴される海外資産を買いあさったことへの反発であり、Level playing field(同一の競争条件)という言葉が盛んに使われた。
 同じ条件で競争することが、公正な市場形成に必用なことは言うまでもない。しかし金融技術の進歩もあり、銀行の間接金融が必ずしも資金調達手段の主流ではなくなった環境のなかで、銀行に限定した規制が、貸付資産の証券化、SIV(特別目的投資会社)、Hedge Fundなどの規制迂回路の拡大に繋がったのである。今回のEUの対応は一つの抜け穴対策だが、Level playing field確保の為の規制が、新たな規制に繋がっている事実を市場関係者は認識する必要がある。
 合意後約20年が経過し見直が行われたBasel IIには、個別金融機関の独自のリスク管理方式も導入されている。市場経済は参加者が市場を先導する。監督当局は問題発生後に対応することになり一歩遅れがちになり、また規制の連鎖に繋がることになる。この連鎖を阻止し、市場の自由度を確保する為には、市場関係者の自覚とモラル向上が不可欠である。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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