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眞野輝彦コラム
2009.05.11 『第二次価格破壊の背景』 ―賃金低下の中で―
第二次価格破壊とも呼ぶべき現象が急速に進んでいる。「掛け値、付け売りなし」を標語に江戸時代のビジネス・モデルを大きく変えた歴史を持つ百貨店の閉店や統合はその象徴と言えよう。第一次価格破壊は冷戦の終焉とともに、モノ、カネのみならず技術の移転による現地生産が、実質的なヒトやトチの国境を越える移動を大幅に拡大させた結果であることは言うまでもない。大規模小売店による安い自社ブランド商品が消費者を引き付け、駅前をシャッター通りに変えている。対共産圏国への輸出禁止リストであったココム・リスト、チンコム・リストなどの名前すら知らない若者も増えている。第二次価格破壊と第一次価格破壊の違いを考えてみたい。
第一は、世界同時不況のため各国に保護主義的な動きが強まっているとは言え、モノ、カネ、ヒト、トチの生産要素の国境を越える移動というGlobalizationの流れが変わったわけではない。相互依存度の高まりから後戻りは不可能な情況であることは変わりがなく、国際的競争はむしろこれからも間断なく続くのである。
第二は、前回の主役であった日本の海外生産に加え、今回は海外企業による安い生産要素が存在する地域で生産された商品の日本攻勢が強まっていることである。海外企業の出店時には早朝から人の行列が出来ている。安いだけではなく、質もファッション性も優れていないと売れないのが第二次価格破壊の特徴である。
第三は、このことが最も重要なのだが、21世紀に入り日本の賃金、給与は5%以上引き下げられていることである。低下する賃金・給与の実質購買力を回復させる消費者の低価格指向は前回以上に強まっているのである。
消費者物価指数が下がっていることから、一部にデフレ懸念も聞かれるが、賃金、給与が下がる中での価格破壊は消費者にとって福音である。高速料金の低額化は、さもなければ実現しなかったであろう連休中の家族旅行を増加させ、「良い価格低下」であることを実証した。物価変動の方向性と同時に、日本の物価、特に一部の土地や農産物などの絶対的水準はまだまだ高いということの再確認が必要である。
民間給与低下にスライドし公務員給与も引き下げられる。税金で賄われる国や地方の政治家の報酬も、消費者の痛みをよりよく理解して政策を立案するためにも、引き下げられて当然と思料する。
(注)
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