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眞野輝彦コラム

2009.05.21 「景気の方向性と水準」

―経済指標を読む際の注意事項―

 昨20日に発表された1〜3月期の実質GDP速報値は、前期比マイナス4.0%、年率15.2%となり、昨年10〜12月期の14.4%を上回る戦後最大の減少率を記録した。2四半期連続で2ケタのマイナス成長となるのも戦後初めてであり、不況の深刻さを改めて確認させた。
 しかし他方で景気は既に底を打ち、回復に向かっているとの楽観的見方が一部株式市場関係者などに台頭し始めている。自動車産業などの一部生産回復や現状判断のDI、消費者動向などがその根拠として挙げられている。景気先行きの見方に関する注意事項を二つリマインドしておきたい。
 第一は、経済活動の方向性と水準の問題である。在庫調整の進展やハイブリッド車種の導入で生産活動の方向は上向いていることは事実であるが、生産活動の水準は極めて低い状況にあることを見過ごしてはならない。設備稼働率は低く、設備投資には当分つながりそうもない。まだまだ基本的には供給過剰の状態が続いているのである(3月11日コラム「需要不足なのか、過剰供給なのか」参照)。
 第二は、定性分析に関する注意である。4月の景気ウォッチャー調査では、景気の現状判断DIが34.2と前月比で5.8ポイント上昇し、4カ月連続の上昇となっているのは事実である。しかしその内容を見ると、「良くなっている」と答えた人が増えているわけではなくて、「変わらない」と答えた人の増加が指数を押し上げている要因なのである。横ばいを示す50の水準は25カ月連続で下回っている。 2、3カ月先を見る先行き判断DIは同39.7で3.9ポイント上昇し、50を23カ月連続で下回っていることを忘れてはならない。
 「景気は気から」という言葉もある。株式関係者などが良い面を強調したい気持ちが分からぬではないが、経済指標の方向性と水準、変化の根拠などをバランスよく理解し行動することが肝要である。

(注)

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