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眞野輝彦コラム

2009.06.01 「Stake Holder とは誰か?」

―GM破綻危機に思う―

 つい先ごろまで世界最大の自動車会社であり米国経済を牽引してきたGMが破綻の危機に追い込まれている。危機発生プロセスを見ていると、改めて企業とは何か、企業経営とは何か、Stake Holderとは誰かなどを考えさせられる。
 Stake Holderという言葉は、Stock Holderと対比して使われ、株主のみならず、顧客、従業員、政府、地域住民等、企業が存続するために支持を得ることが必要となる関係者を意味する。市場経済の下での企業経営の目的は、収益を極大化し、その収益のStake Holderへバランス良く配分させることにある。GM危機に代表される最近の危機はこのバランスが崩れていることに起因することが多いようである。
 第一は、経営者の対応である。政府資金の支援を受けながら、ワシントンでの公聴会にPrivate Jet機で乗り込み、議会の反発を買ったこと、巨額の報酬、退職金などが問題になったことなどは記憶に新しい。逆に、赤字を出しながら、経済環境の悪化を言い訳に、責任自覚が薄い経営者が多いことが問題であることは言うまでもない。
 第二は、Hedge Fundの存在である。資金借入のLeverageを効かせて株式を購入し、大株主として配当増加などを要求する。Stock Holderとして当然なのだが、しかし往々にして配当増により株価が上昇すれば、売り抜けることを目的とすることが多い。そのこと自体を否定するつもりはないが、このような株主が真のStake Holderか否かをこの機会に再吟味する必要がある。
 第三は、労働組合の問題である。従業員の利益を守る重要な組織であることは言うまでもないが、GMのケースはその要求が行き過ぎると企業そのものを破綻させることに繋がりかねないことを示している。
 経済環境変化の速度が極めて早い環境の中で、法体系の改正は後追いになりがちで、次々に出てくる新しい問題を法規制で予防することは難しい。Stake Holderそれぞれが企業の社会的存在意義と責任を再確認し行動することが肝要である。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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