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眞野輝彦コラム

2009.06.22 「ガラパゴス現象からの脱却」

―日本は更なる「独自の進化」を―

 世界同時不況の火元からは最も遠いにも拘わらず日本の景気落ち込みが大きい理由に日本経済のガラパゴス化があげられている。ガラパゴス諸島はエクアドル沖の太平洋に浮かぶ島々だが、大陸と隔離された環境下で独自の進化をとげたガラパゴスゾウガメ、ウミイグアナなどが生息していることはよく知られている。日本経済はこの島々の生態と同じように「独自の進化」をし、世界の「一般進化」とは異なる産業構造となっている。このため日本製品が世界に受け入れられず、輸出不振、生産低下、大幅な経済落ち込みにつながっているとの説明である。その好例として携帯電話やパソコンがあげられ、機能はよいのだが日常生活に必ずしも必要ではない機能を付け、その結果世界の購買力に合わない製品化に向かい、競争に敗北したというのである。その要因も確かにあるのだが、かといって「独自の進化」から後退してよいのであろうか。「独自の進化」の背景と今後の方向性を整理しておきたい。
 第一に、1億2000万の人口がある日本には、国内にかなりの大量生産を行いうる経済基盤が存在することである。EU統合の推進力は時の経過とともに変化したが、個別国の規模が小さすぎることが大きな要因であった。日本は人口減少に備えるためとの理由から、やみくもに海外進出したことの付けがいま顕現しているのである(3月11日付本コラム「需要不足か、過剰供給過なのか?」参照)。
 第二は、多くの規制の存在である。自由化がすすんだ今でも農業分野など多くの規制が存在し、これが土地活用など日本全体の生産性を低下させている。自由化のリスク対応と同時に、日本全体の生産性を低迷させている農業や官僚組織などの見直しが不可欠なのである。不況を理由に既得権益の維持、拡大の動きがあることには十分注意しなければならない。
 第三に、最も重要なことは天然資源小国日本には更なる「独自の進化」が必要なことである。戦後の「安かろう、悪かろう」という日本製品を「信頼できる日本製品」にイメージ・アップできたのは、日本が「独自の進化」をした成果であることは疑いがない。グローバリゼーションによる「一般進化」という厳しい生存競争に勝ち残るためには、更なる「独自の進化」が不可欠なのである。
 先週、エコ・カーに対する補助金申請の受け付けが始まった。自然環境問題は同時に更なる「独自の進化」への突破口でもある。他国にはない「独自の進化」技術を日本は持っているからである。ここで注意しなければならないのは、これらの技術を持っているのは民間企業であり、政府ではないことである。余計な政府の介入や規制強化で新しい成長の金の卵をつぶしてはならない。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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