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眞野輝彦コラム
2009.08.03 「直接金融と間接金融の違い」
―金融不安の根源―
やや収まる気配も見え始めた今回の金融混乱だが、その最大の原因は、金融工学を利用した複雑な証券化が、リスクの存在を不明確にしたことにある。かかる過ちを繰り返さないために、戦後の日本の経験を振り返りながら、直接金融と間接金融の違いを確認しておきたい。
戦後の日本金融の特色は細分化された間接金融であった。絶対額が不足する貯蓄を日本経済に配分するために考案されたシステムである。即ち、大企業には都銀が、地方中核企業には地銀が、中小企業には信金・信組と復興に不可欠な資金を経済全体に流す循環システムが構築されたのである。
貯蓄は金利の関数であるとの古典派理論を否定し、所得の従属関数であると主張したのはケインズだが、その後経済復興―所得増加―貯蓄増加を経て、直接金融が本格的な出番を迎えることになる。
間接金融と直接金融のバランスを大きく変えた要因は、金融機関の資本金とリスク資産の比率を定めたバーゼル合意である。銀行はこの規制を迂回するために貸付資産の証券化を活用することになる。米国のサブプライム問題もこの流れの中で発生した。
金融混乱の根源はリスク管理が甘くなったことにある。間接金融では融資銀行が貸出の不良債権化を避けるため担保管理に意を注ぐのだが、手数料が証券会社の収益の中心である直接金融では、売りさばきの後のリスク管理は投資家に転嫁される。いわゆる自己責任原則である。投資家は格付等を参考に判断することになるのだが、IT技術が組み込まれた複雑商品のリスク認識は、専門家である筈の格付機関も間違えることになったのである。
景気循環を加速する傾向にあることから、バーゼル合意の見直し論も出ている。しかしまず資金の調達者・運用者双方が、間接金融と直接金融の違いを再確認することが肝要なのである。
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眞野 輝彦 (まの てるひこ) | ||||||||||||||||
| 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事 | |||||||||||||||||
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(注)
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