ホーム > 眞野輝彦コラム > 「自民党と民主党の経済政策のアプローチ手法の違い」
眞野輝彦コラム
2009.09.11 「自民党と民主党の経済政策のアプローチ手法の違い」
―国債残高と失業率動向の注視を―
いよいよ民主党主導の鳩山内閣が発足する。半世紀を超える自民党の実質支配で惰性化している政官民体制の見直しが期待されている。3党協議が長引いた原因の外交、安全保障問題の具体的な政策対応には不明確な部分が多いのだが、ここでは経済政策に絞って考えてみたい。自民党と民主党の経済政策のアプローチ手法が極めて対照的だからである。
自民党の経済政策は、パイの拡大を目標に掲げ、その達成が結果として家計にも浸透するというマクロ的手法であった。右肩上がりの時代には政策的に多少の誤りや無駄があっても、賃金上昇という家計へのメリットがあったのである。しかし土地バブル、輸出バブルの崩壊、グローバル化による日本の労働力と海外の安い労働力との競合、更には少子高齢化問題が加わり、自民党方式が機能しなくなった。この変化に対応する政策見直しが不十分であったことが、公的債務の巨大化、将来への不安に繋がり、自民党は支持を失うことになったのである。
民主党のアプローチは、自民党との違いを強調する目的もあってか、ミクロ政策の積み上げ手法を採っている。家計不安に対処するため、子育て手当、農家の所得補償など直接家計への支援政策を掲げ大勝したのである。自民党のアプローチ方式が政官癒着、省益優先などの問題や無駄を生んだことは確かであり、その是正のために国家戦略局も発足することになった。
しかし民主党アプローチには下記二つに大別される問題等多いのである。
第一は、個別政策の優先度や財源問題などのマクロ経済問題とのつながりが不明確なことである。無駄の排除で財源は確保できるとし、今後4年間は消費税を引き上げないと公約しているが、数字的な裏付けは必ずしも明確ではない。果たしてこの公約が守れるか、注目指標は公的債務残高の推移である。無駄の排除で財源が確保できれば公的債務を増加させる必要はないからである。
第二に、家計への直接支援政策がマクロ的な雇用増加や税収増加に繋がるのかという問題である。無駄の排除は当然なのだが、非効率な公共政策に依存している企業も多いことも忘れてはならない。3党合意事項に「緊急雇用対策の検討」があるが、自民党が導入した雇用調整助成制度への対応次第では、失業率が急上昇する可能性も強いのである(9月1日付コラム「日本もジョッブレス・リカバリー時代に」ご参照)。更に、国際的アピールを狙ってか、企業と家計に大きな負担となる高い温暖化ガス削減目標を掲げたネガティブ効果も考えなければならない。
鳩山内閣の経済政策の結果が端的に示される公的債務残高と失業率の推移を注視することが肝要である。
(注)
本コラムの内容は自由に引用していただいて構いませんが、引用される際は、必ず「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のホームページから引用」等の表現により、ソースを明記していただくようお願いいたします。