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眞野輝彦コラム

2009.10.01 「Gold価格の変動要因」

―IMFの保有金売却の背景―

 ピッツバーグ金融サミット終了後発表された声明に、IMFの出資比率を経済実態比多い国から少ない国に少なくとも5%分配することが盛り込まれた。またIMFは財政再建策の一部として、保有する金約1億340万オンスのうちの約12%にあたる約1300万オンス(403.3トン)の売却を4月7日の理事会で決定している。売却額は約110億ドルに上る見込みである。背景には1997年アジア危機以降IMFの条件付き援助を嫌う途上国が増え(いわゆるワシントン・コンセンサスへの不信)、IMFの歳入源である貸付の利子収入が減少していることがある。IMFはコストおよび人員の集中的削減に努めていたが、この機構再編に金の売却対価をあてることになる。
 戦後のブレットンウッズ体制の下で国際通貨システムの価値基準であったGoldは、1971年のニクソン・ショック以来、通貨の価値尺度としての機能は低下した。しかし金のインフレ・ヘッジ機能への信仰は根強い。このところ金の市場価格が1,000ドル前後で推移している。この機会にGold価格変動要因を整理しておきたい。
 第一は、金取引建値の太宗を占める米ドルの下落である。固定相場360円から90円と米ドル価値は1/4に下落している。米ドル表示の金価格が上昇するのは当然である(9月18日付本コラム「円高ではなくドル安」ご参照)。
 第二は、実需関係の変化である。景気が良ければ、産業用、装飾用の需要が高まることは言うまでもない。バブル時に装飾用需要が急上昇したことは記憶に新しい。金価格と株価とほぼ並行して変動するのはこのためである。
 第三は、金利との関係である。低金利通貨の先物為替相場にはプレミアムが付く。通貨リスクを避けるための先物買が発生するからである。金保有には勿論金利が付かず、逆に保管手数料がかかる。このため金の先物相場には常にプレミアムが付く。換言すれば、高金利時の金保有は通貨運用益の放棄を意味するが、ゼロ金利は放棄益がゼロとなり、金価格は上昇する。
 IMFは市場の混乱をさけるため、数年をかけて金売却をする意向と伝えられているが、金相場は、景気や金利動向の先行指標である。今後の金価格動向を注目することが大切である。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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