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眞野輝彦コラム

2009.10.09 「不均衡是正と為替相場安定との両立は可能か?」

―為替介入の問題点―

 ピッツバーグG20では世界不均衡是正のための共通政策の持続が確認され、続くイスタンブール金融首脳会議では為替レートの過度の変動や無秩序な動きが経済及び金融の安定に悪影響を与えるとの認識が示された。しかしこの二つの政策目的の達成は容易ではない。この機会に為替の調整と安定の問題を整理しておきたい。
 第一に注意しなければならないことは、この二つの課題は全く逆方向の対応が要求されることである。経常収支不均衡是正に必要な各国経済の構造改革と為替相場の調整と相場安定の同時達成が極めて難しい理由である。二つのバランスを考慮したのがクローリング・ペッグ相場だが、現実の市場で機能しないことは過去の実績が示している。
 第二は、何が均衡相場かという問題である。毎日変動する市場相場の他に、実質実効為替相場、購買力平価などの理論値があるが、どの相場を不均衡是正の対象とするかという課題である。最近円高が問題になっているが、インフレ、貿易量を考慮した実質実効相場はむしろ円安に動いている。
 第三に、為替市場介入は二つに分けて考える必要がある。
 まず相場水準の是正を目的とする介入である。介入効果を期待するためには関係国が同じ相場認識に基づき協調介入することが不可欠である。プラザ合意による介入が成功したのは、米ドルが高すぎるとの共通認識があったからである。
 円高が低下する賃金・給与の購買力を増加させることは明らかである。大幅な経常赤字を出している米国が事あるごとに「強いドル」を強調するのも同じ理由からである。為替相場は関係する二つの通貨の換算比率であり、円と米ドルが同時に強くなる為替介入などあり得ない。「円安は経済成長にプラス」との従来の認識を訂正した藤井財務相発言が注目されたのも同じ理由であり、消費者利益、構造改革にも繋がる主張である。
 次に、乱高下を抑えるための介入である。日本では介入と言えばドル買介入と思われがちだが、この場合は変動の原因を見極め、状況に適した売買双方向の介入が必要なのである。

(注)

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