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眞野輝彦コラム

2009.11.02 「エコ商品の消費押し上げ効果」

―需要の先取りに注意を―

 排気ガスや消費電力の少ないエコ・カーやエコ家電需要が景気を下支えしている。温暖化対策型の商品・サービスの購入や省エネ行動に経済的インセンティブを付与する経済政策の効果である。しかしこの政策効果は、将来の需要を先取りしている点にも注意する必要がある。また先進各国がエコ商品への支援策を打ち出しているのは、地球温暖化もさることながら、世界的金融不況による消費支出が落ち込んでいるからである。その背後には、途上国との競合や不況による失業が増大し、同時に時間外手当やボーナスなどの手取給与が減少していることがある。
 失業や給与減少への家計の対応は二つに大別される。
 第一は、貯蓄の取り崩しである。しかし日本の公的債務の合計額が6月末で既に860兆を超えていることに加え、配偶者控除の廃止、環境税の導入、たばこ税の引き上げなどのニュースを耳にすると、そう簡単に貯蓄を取り崩すわけにもいかない。
 高齢者は、既に年金だけでは生活できず、貯蓄の取り崩しをせざるを得ないのが実情である。このため日本の平均貯蓄率は3%を割り込み、貯蓄率の低さが問題にされていた米国を下回っているのである。
 第二は、消費の絞り込みである。サラリーマンが弁当を持参し、昼食代を500円コイン一枚に抑えることなどがその象徴である。
 家計にとって消費者物価の下落や海外の商品が安く購入できる円高は福音である。しかし毎日の生活費の圧縮にはおのずと限界がある。支出切詰めの早道は金額のはる耐久消費財購入の先延ばしである。大分古くなったが自動車はまだ動くし、TVもまだ見える。すぐに買い換える必要はないのだが、たまたま期間限定の政府政策を知って、買い替えを前倒しにした家計がかなり多いのではなかろうか。このような支援策をいつまでも続けるわけにはいかないことは言うまでもない。他の先進国で同じような政策の期限終了後、消費の反落が報じられている。無駄を省き、家計への直接支援が売りものの鳩山内閣が、ポスト・エコ対策と財源確保をどの様なかたちで打ち出すのか注視したい。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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