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眞野輝彦コラム

2009.11.11 「ユーロ誕生10周年に思う」

―円の凋落と原因―

 欧州連合(EU)の加盟国中12カ国が1992年のマーストリヒト条約に基づき、1999年1月1日、EU単一通貨としてユーロを誕生させてから10年が経過した。当初は銀行間取引などにのみに使われたが、2002年1月1日からは紙幣と硬貨が流通するようになり、この時以降参加各国の通貨は使われなくなった。
 金・米ドルを基準とする調整可能な固定相場体制であったIMF体制は、1973年初めに変動相場に移行した。この制度なき制度ともいわれる変動相場が今も続いているのは、米ドルに代わる通貨不在に起因する。この意味でGDPが米国を上回るユーロへの期待は大きいのだが、基軸通貨の機能を十分果たしているとは言い難い。英国などユーロに参加していない国があること、所得水準の低い旧東欧圏諸国の参加もあり域内所得格差も大きいこと、財政政策は個々の国主導で運用されていることなどから、地域全体の整合性のとれた政策が行われているとは言い難いことが原因と言えよう。むしろ誕生から10年しか経過していないことを考えれば当然かもしれない。そこで現在の国際通貨の実態を各国が保有する外貨準備の通貨別シェアから検証してみたい(下図ご参照)。
 固定相場時代の1ドル360円に比べ価値が1/4に下落している米ドルが65%という圧倒的シェアを維持している。まさに「腐っても鯛」である。次がユーロの25%強である。米ドルとユーロが外貨準備の90%を占める事実は注意すべきことである。
 これに対し日本円の凋落は著しい。ユーロが登場する前はドイツ・マルクの14%弱に次ぐ第三位で6%強のシェアであったが、今では英ポンドの4%を下回り、3%を割り込んでいる。原因は経済の成熟化で成長率が低いこと、土地バブルで所謂「失われた10年」などの経済的要因に加え安全保障問題への不安が大きい。日本は自力で自国を守れるのか。ガードマンのいない銀行にお金を預けて大丈夫なのかと海外の投資家は思っている。加えて輸出促進のため巨額のドル買・円売介入を実行したため、円を保有しても金利が低く、円の価値も上昇しないことが円建投資の魅力を減少させている。北朝鮮などの核ミサイル脅威をはじめ、東アジアの軍事情勢は大きく変化している。日本国政府がこの円凋落の事実を十分再確認し、日本の安全保障問題に取り組むことを切望する次第である。

外貨準備に占める通貨別シェア%199820082009
 米ドル69.364.165.0
 英ポンド2.74.14.0
 ドイツ・マルク13.8  
 フランス・フラン1.6  
 日本円6.23.22.9
 スイス・フラン0.30.10.1
 オランダ・ギルダー0.3  
 ECUs1.3  
 ユーロ 26.525.9
 その他の通貨4.52.02.1
 合       計100100100

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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