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眞野輝彦コラム

2009.11.20 「ネガティブ金利は可能か」

―物価低下は消費者には福音―

 景気の先行きが不透明になるとデフレ論議が盛んになる。政府、日銀間の微妙な対応の違いも伝えられ、来日したOECDのグリア事務総長も記者会見で「日銀はデフレと戦うべきだ」と述べ、物価上昇が確実になるまで超低金利政策の維持を注文している。しかし注意しなければならないことが二つある。
 第一は、賃金・給与が低下し、ボーナスの減額や出ない可能性もある中で、物価低下は消費者には福音である。1000円を割るボージョレヌーボーはその好例である。また企業にとってもコスト低下のメリットがある筈である。デフレ論議の前に国際比較で日本の物価水準、特に土地など資産価格の水準が高いことの再確認が必要である。
 インフレ・ターゲット論の欠点は、物価と賃金を同時にセット出来ないことと、その実現手段を提示できないことにある。グローバル化が進む中で、賃金引き上げが、企業活動を海外に押し出すことになるという点は、今更繰り返し述べるまでもない。
 第二は、ゼロ金利の状況では、中央銀行はネガティブ金利導入以外に金利操作のToolを持たないことである。ネガティブ金利は、預金をするとペナルテイを徴収することを意味する。1970年代フランクフルト勤務時に、ドイツ・マルクの切り上げ投機が激しくなる中で、ドイツ中銀が導入した中銀残高が定められた金額を越えるとペナルテイを課すオーバーデポ制度を経験したことがある。しかし年金問題など将来不安が増す日本で、ネガティブ金利に踏み切ることが政治的に不可能なことは明らかである。
 残された手段は現在の流動性供給し続けることしかないのだが、ここでも過剰流動性が既に金や石油投機に繋がっていることを忘れてはならない。

(注)

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