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眞野輝彦コラム

2009.12.10 「円高は国債発行の原資確保に有効」

 藤井財務相は8日の閣議後の記者会見で、2009年度の国の税収が36兆9千億円にとどまるため、09年度の国債発行額は53兆5千億円に膨らむ見込みであることを明らかにした。国債発行額が税収を上回るのは、戦後の混乱期だった1946年度以来のことである。またIMFのWorld Economic Outlookは2010年の日本の公的グロス債務はGDPの227%と予測しており、この数字が世界最悪であることの再確認も肝要である。
 給与やボーナスが下落する環境下で、手取り給与の購買力を上昇させる円高が家計にとって福音であることを前回までに2回取り上げたが(11月20日、12月1日コラムご参照)、今回は円高が国債発行の原資確保に有効なことを強調したい。国内に国債購入資金が十分あるとの前提が崩れ始めているからである。
 第一の状況変化は、日本の貯蓄率が2.7%にまで急速に低下していることである。老齢化の進捗で貯蓄の取崩し(マイナスの貯蓄率)が全体の貯蓄率を引き下げており、この傾向は今後も続くことが予測される。年金の引き上げは期待できない状況の中で、貯蓄取崩しは当然のことだからである。
 第二に、日本の貯蓄が海外に流出していることと、同時に海外からの資金流入も減少していることである。因みに、10月の資本収支は557億円の流出超となっている。背景に日本のゼロ金利が続いていることは言うまでもない。円高による採算の悪化リスクが日本の海外高金利を求めての貯蓄流出阻止に有効なことは言うまでもない。
 他方海外の投資家からみれば、金利が安い上に円の価値の上昇が見込まれなければ、円建証券(株式を含めて)の購入を躊躇することも当然である。逆に、円高になれば、たとえ金利は低くても円建資産を持つ魅力を増加させることになる。
 「円安は善・円高は悪」からのパラダイム・シフトが不可欠である。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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