眞野輝彦コラム
2010.03.01 「失業率の世界的平準化」
―Globalizationの意味と結果―
国際労働機関(ILO)が1月27日発表した年次報告書は、2009年の世界の失業者数は、2億1200万人と初めて2億人の大台を突破することを予測している。失業者数は、2007年に比較して3400万人増加し、その大部分は2009年度に増加し、失業率は6.6%となる見込みであることを報じている。
新型肺炎(SARS)によるアジア経済への打撃、日米欧など先進国の雇用回復の遅れが主因と分析されているが、その底流にはGlobalizationによる、国境を超える労働力の競合があることを忘れてはならない。労働力の国境をこえる移動には、労働許可問題や言葉など多くの障害がある。しかし、資本と技術の移転による現地生産拡大により、生産性が低く、相対的に高コストの労働力が途上国の安い労働力による代替が可能になっている。労働と同時に、物理的な移動が不可能な土地についても、同様の競合関係が始まっている。Globalizationの浸透で労働力と土地の国境を超える実質的競合が発生していることが、モノ、カネの移動に限定されていたそれ以前の国際化との違いであり、この結果、世界各国の失業率の平準化が始まっているのである。
もう一つこの年次報告が指摘している問題は、15−24歳の失業率が世界全体で13.4%に達し、若年層の雇用が世界的に深刻化していることである。勿論、日本も例外ではない。景気循環的要因に加え、世界的な労働力の競合関係が強まる中で、企業が最も採用を絞り込みやすいのが、基礎教育を終え、これから社会に参入する若年層だからである。
日本の失業率は5%前後と過去のすう勢より高い水準にあるが、欧米の失業率が二桁であること、多くの失業者を抱える途上国の存在を考えれば、更なる失業率上昇も覚悟しておかなければなるまい。日本の失業率が1990年代初頭と同じ3%以下の低水準に戻るよりは、欧米並みの水準に近づく可能性の方が高いことを前提に、各種政策を策定する必要がある。
(注)
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