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眞野輝彦コラム

2010.04.12 「リユース市場の拡大」

―生活防衛と狭い住居―

 中古品のリサイクル市場が拡大している。従来から中古自動車市場などは国内だけではなく、海外への輸出にまで裾野を拡大したが、今注目されているのは毎日の生活に関係する比較的低額の中古商品市場が急拡大していることである。経済産業省の平成19年商業統計によると、中古品小売業(骨董品を除く)の年間商品販売額は、3,452億円となっており、現在では5,000億円を超える規模になっているものと推計される。この急拡大の背景を整理しておきたい。
 第一は、買い手の生活防衛指向である。手取給与やボーナスが減少していること、更に失業リスクを意識すると支出圧縮は家計の当然の行動である。女性のファッションには一定のサイクルが繰り返されること、日曜大工に使う工具は新品である必要はないことなどを考えれば中古商品の選択は極めて合理的と言えよう。
 第二は、買い手の住居スペースの問題である。箪笥や押し入れの中は、既に一杯で、一つ新しいものを買うと今まで使っていたものの処分に迫られる。日本の住居空間は先進国としては極めて手狭で、空間の節約は、家計の最重要課題のひとつといえる。土地や住宅価格が極めて高いことが背景にあることは言うまでもない。
 第三は、仲介者による創意工夫である。品ぞろえのために自ら引き取りに出向くこと、インターネットを活用したセールス、必要に応じ販売する商品に保証を加えるなど、従来なかった種々の工夫が加えられているのである。
 モノを大切にすると言う日本の美風は、高度成長時代の大量生産、大量消費の中で失われてしまったのではないかと懸念される。賃金上昇が期待できない環境の中で、リサイクルビジネスの拡大は、処理すべきごみ処理の量を減らすことにつながり、地球環境問題にも資すると同時に、わが国の美風回復にもつながる歓迎すべき経済現象と考える。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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