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眞野輝彦コラム

2010.04.21 「預金はHigh Return Low Risk運用」

―物価下落環境下の家計の資金運用―

 世界景気の底打ち感から株価も上昇しているが、わが国家計の預金中心の資産運用に大きな変化が見られないようである。民主党政権による子育て支援の経済効果も注目されているが、家計の資産運用の変化が少ない背景を整理しておきたい。
 第一は、従来からの日本人の家計における保守性に加え、バブル崩壊、リーマンショックの後遺症が強く残っていることである。もてはやされたインターネット取引もひところの勢いを取り戻していないようである。
 第二は、失業リスクが引き続き存在することである。更に、手取り賃金が減少し、今回の春闘が示すように、将来の賃金上昇もあまり期待できない状況では、家計が資産運用リスクに敏感になることは当然である(3月21日付「所得効果から価格効果へ」参照)。
 第三は、ギリシャの国債問題の悪影響がEU経済の足を引っ張る中で、日本の公的部門の巨大な借金のリスクが改めて認識されていることである。一部の格付け機関も将来日本の国債の格下げを示唆しているのである。
 第四は、金利差益を一瞬にして吹き飛ばす為替の変動リスクが再確認され、外貨運用に慎重になっていることである。中国元の切り上げが間近との観測が浮上し、日本円のつれ高予想もこの慎重姿勢に拍車をかけることになる。
 第五は、物価の下落が続くという日本の特異な事情である。現在の環境下では、銀行預金が「High Return、Low Risk」の運用になっているのである。即ち、例え金利は殆どゼロであっても、物価の下落が購買力を増加させており、敢えてリスクを伴う取引に手を染める必要がないのが現状なのである。

眞野輝彦 眞野 輝彦 (まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 客員研究理事
1956年4月東京銀行入行。本店営業部、ロンドン、デュッセルドルフ、為替部、ニューヨーク、フランクフルト、スイス東京銀行、調査部などに勤務
1985年6月東京銀行取締役に就任
1992年2月東京銀行 参与
1996年4月合併により東京三菱銀行 参与
1999年2月東京リサーチインターナショナル 参与
2004年2月東京リサーチインターナショナル 客員研究理事
2006年1月合併により三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究理事
その他役職日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会学識委員
国策研究会 評議委員会議長
国際通貨研究所 評議委員
東アジア共同体評議会 議員
日本国際フォーラム 委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists 会員

(注)

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